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同じ空の下にいらっしゃる野宿組の二人について、ちょっと思いをはせてみました。
前回のお話はこちら



011:同じ空の下
 
 
 
「そういえば、空気と元親君は無事にキャンプ場に着けたかな」
 ふ、と思い出したように半兵衛がそう言ったのは夕食時。
 箸を白いご飯に付けながらの言葉に、汁の椀を持ったままの元就が首を傾げる。
「どうであろうな……順調に逝けたのならば、ようやく全過程の半分程度であろうか」
「って事は、そろそろ獣道も何も無い山の中?」
「であろうな。凶暴な熊が多いという山の中ぞ」
「待て待て待て待て待て!」
 ……残念ながらその不吉な言葉たちを、政宗は聞き流すことなど出来なかった。
 付け加えて言うと、今、ここにいる二人の危険を願わない人間は自分しかいない。となれば、自分が二人にどういうことかと問い詰めなければならないだろう。……ちなみに小十郎は、一人で遅めの露天風呂に行ってしまっている。
 彼はゆっくり日頃の疲れを取って来てくれればいいのだと思いながら、頬を引き攣らせて元就と半兵衛の二人の顔を見渡す。
「さっきから聞いてたら妙な言葉しか聞こえねぇんだが、出来れば俺にも分かるように一から百まで筋道立てて話してくれねぇか?」
「政宗君からのお願いだというなら……答えてあげないといけないだろうね」
 そう言ってにこりと笑みを浮かべたのは半兵衛だった。
「キャンプ場があるのは本当らしいんだけれど、ここから五時間で着けるって言うのは嘘。正確には八時間だね。で、途中から車道は消えて山道に入るんだけど、その山道も途中で消えるんだ。それでもどうにか山を越えれば、直ぐ麓に目的地が見えるハズさ」
「ただな、その山には凶暴で獰猛な熊が住んでおるらしくてな、入ったが最後、出てくるのは至難の業であるという話ぞ」
 元就も楽しげに表情を歪めて、補足らしき内容を口にする。
 ……そして、それらを聞いて言える言葉など一つしかなかった。
 はぁ、と息を吐いて口を開く。
「お前ら、本当にアイツら嫌いだな……」
 そう言って心底キャンプ組の二人に同情しながら、政宗は彼らの無事と幸運を祈った。







元就と半兵衛……うん、やっぱこのくらいやりかねないと思うのですよ。
そして小十郎はゆっくり休むべきだと思うんだ。
そしてそして。相変わらず元就さまの「行く」が「逝く」な件。
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