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二期のあの潜入捜査の前なら、こんなこともあったんじゃないかな、と。
刹那とティエリアとアレルヤなお話です。
刹那とティエリアとアレルヤなお話です。
047:踊りましょう
「刹那、手伝え」
「……何をだ?」
「ダンスの練習を、だ」
そう言って、女物のドレスを着たティエリアは偉そうに妙に男前に躊躇い無くけれども不機嫌そうに、ずい、とその右手を差し出してきた。
その手を眼下に、刹那は、すぃ、と視線を滑らかに動かして、口を開いた。
「ダブルオーの整備を手伝って来ないと、」
「いけない、と言う事は無いだろう?知っているぞ、お前がさっき、イアンに格納庫から追い出されたと言う事はな。……ダブルオーが好きなのは分かるが、メンテナンスは彼に任せておけば何ら問題は無いんだ。少しはガンダム離れをしろ」
「……」
こちらの言葉を引き継いだ上に色々と別の事を口にした彼に、ちらりと恨みがましい視線を送る。それから、刹那は沈黙を守ったままこの状況から回避する方法を考え始めた。
恐らく、ティエリアが言うダンスの練習、というのは今度の潜入任務のための下準備だろう。それは分かる。でなければ彼がそんな事を言い出す原因も必然性も、女物のドレスを着ている理由すらも存在しないはずだから。
ならば彼の頼みを聞いて、練習に付き合ってやっても問題は無いのだろう……けれども。
……何故だろう、素直にそうするには妙に抵抗があるのだが。
彼の格好のせいだろうかとぼんやり思い、こうなったら普通に断ってそのままダッシュで逃げようかと考え始めた頃。
「あれ?刹那、ティエリア、二人で何やってるの?」
タイミングが良いと言うか悪いと言うか。良い意味でも悪い意味でもタイミングを読んでしまうオレンジ色のマイスターが、ひょこ、と顔をのぞかせた。
そのまま部屋に入ってきた彼は、不思議そうにティエリアの格好を眺めた。その恰好に対してアレルヤは、自分の様な妙な抵抗を持たなかった様である。……それだけでもある意味称賛出来る気がするのだが、さてはて。
「刹那とダンスの練習をしていたんだ」
……などといった事を思っている間にティエリアが答え、へぇ、とアレルヤが頷いた、のだが……ちょっと待って欲しい。自分はまだ手伝うなんて一言も言っていないのだけど。
刹那の心の中のそんな声を聞きとれるわけもなく、二人はそのまま自分が手伝うと言う前提の元で会話を発展させ始めてしまって。
違うのだと言う機会を逃した刹那は逃げる事を諦め、小さくため息を吐いた。
現段階で女装してる理由は、その格好で練習しないと練習にならないから。
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