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カタロンの隠れ家ってあったじゃないですか。あれって、定期的に点検とかしてるんでしょうかね。
13.ポタポタ
「雨漏り?」
「えぇ……一応、バケツを置いて応急処置してるけれど」
どうしましょう?と首を傾げるマリナに対し、シーリンは困った様に眉を寄せた。
「修理するにも道具は無いし、修理屋を呼ぶにはここは危険すぎるわ。それに、呼んだ相手が私たちを通報する可能性だってある。……となれば、取る道は一つ。放置ね」
「やはりそうなるのね……」
「えぇ。でも……大丈夫でしょう?雨漏りなら雨がやめばどうにかなるし、その間だけその部屋に入るのを禁止すればいいのだし」
「じゃあ、リビングで眠りましょう」
「……え?」
何でそんな話になるのだと目を何度か瞬かせると、彼女は、あぁ、と手を打った。
「そういえばちゃんと言って無かったかもしれないわね。雨漏りしてるの、寝室なの」
「……だとしても、まだ他の空き部屋もあったでしょう」
「全滅よ?書庫とリビングくらいのものじゃないかしら、無事なのって」
「…………この隠れ家、補修とかして無かったのかしら」
いくら隠れ家とはいえ、隠しておかなければいけないから業者を呼べないからと言って、それらが修理出来なかった理由にはならないだろう。専門の人間を呼べなくても、自分たちで屋根に板を打ち付けるとか、出来る事は間違いなくあったはずだ。
はぁ、と息を吐いて、リビングの方に視線をやる。
「……クラウスは作業中だし、二人で机と椅子を廊下に運び出しましょうか」
「あ、椅子の方は子供たちがやってくれるって言ってたわ」
「良い子たちね……」
「良い子たちよ。だから、その良い子たちがたくさん眠れるように、早く机を運び出しましょう、シーリン」
そう言って微笑むマリナに微笑み返し、シーリンは彼女と共に、子供たちが既に待機している本日の寝室候補へと歩を進めた。
修理の事は、みんな忘れてたんだよ……ってことで。
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