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と、いうわけで。厄害のお話もこれで終了です。



 その日、白辺高校の生徒の中のごく一部が満身創痍で登校してきた。
 傷だらけのその生徒たちはそれぞれ、包帯を巻いたり、湿布を貼ったり、絆創膏を貼ったりと、様々な傷に様々な処置を施していた。中には松葉杖を使用しているという、随分と私生活に支障が出そうな生徒もいる。
 一番軽症だったのは頭に包帯を簡単に巻いている男子生徒だった。彼はしきりに頭を摩りつつ、直ぐ隣にいる似通った顔の別の男子生徒に何かを問いたそうな表情を向けていた。もっとも、向けられている方の生徒はだんまりを決め込んでいたのだが。
 逆に一番重症だったのは当然だが、松葉杖を使っている男子生徒である。彼は右足にグルグルと包帯を巻いていて、半袖のシャツを着用しているために露わになっている腕の部分や、首の辺りにも同様に白く細長いそれを巻いていた。若干それが赤に染まっているのは、その下に切り傷があるからなのだろう。
 他にも松葉杖を使うほどではないが足を引きずる生徒、かさぶたになった傷をため息を吐きながら眺める生徒、青い痣に苦しめられ妹に心配されている生徒も、昨日と同じように、学校へと登校してくる。
 いつもと変わらない風景。
 しかし、いつもとは違う光景。
 傷だらけの生徒と、その仲間あるいは家族たちの中の殆どの瞳に見える感情を遠めながらに確認して、思わずため息を吐く。
「……今回ばかりは本当に死ぬんじゃないか?」
 本心からそう思って、トールギスⅢはちらりと、がたがたと震えているギャンに視線を向けた。……震えるぐらいなら、始めからやらなければよかったのに。
 これから彼に訪れるであろう惨劇について同情こそすれ、助けようとは思わなかった。自業自得だし、今回はいつものように笑って済ませられるレベルではなかったようだから。全く、よりによって何であんなものを作り上げたのか……何を目論んでいたのか少し気になる所ではある。
 どうせ何も考えていないのだろうと再び息を吐き、席を立つ。
 そろそろ職員室から退避しなければ、生徒たちの逆襲の巻き添えを食ってしまいそうだ。
 それだけはごめんだと、どこか適当な教室にしばらくいようと心に決めた。







そういやギャンって、考えなしで実行して後で痛い目見るタイプだよね……。
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