色々100のお題 037．壊れた時計

拍手再録です。

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037：壊れた時計
 
 
「政宗様！いい加減に起きてください！」
「うー……まだ良いじゃねぇか……」
「良くありません！既に日は高く上っておりますぞ！」
「……じゃあ日が落ちたら起きる」
「政宗様ッ！」
　再び布団をかぶり直そうとした政宗だったが、叱るような声音が降ってきた所で、これは無視して二度寝なんてできそうにないと渋々上体を起こした。
　欠伸をしながら、少しキレそうな己の右目に向かって右手を上げる。
「good morning、小十郎」
「……残念ながら今は昼です」
「じゃ、good afternoonか？」
「そういう問題ではないでしょう！」
　叫ぶ小十郎の声から逃げる様に耳をふさいで、政宗は息を吐きながら口を開いた。
「あんま怒りっぱなしだと寿命縮むんじゃねぇか？」
「ならばあまり私を怒らせないでいただきたいですね」
　するとさらりと返される言葉。……まぁ確かにそうだけども。
　やれやれと肩を竦めながら、布団を完全に取り払う。
「……ったく……ようやくアニメ終わってのんびり出来るって時に……」
「政宗様……そのような発言はお止め下さい」
「良いだろ、こんくらい。……で、今日は何かeventとかあったか？無かったら俺は日向ぼっこにでも行くぜ？んで寝る」
「まだ眠るつもりですか貴方は……」
「アニバサ弐で走りまわったから疲れてんだよ」
「一番疲れているのは馬でしょうが……」
「……ま、それを否定する気はねぇけど」
　取り払った布団をくるくると巻いてすぐ傍に置いておいた普通のひもで縛り、ひょいと抱えて政宗は立ち上がった。
　突然の事に驚いている小十郎に再び右手を上げ、に、と笑う。
「んじゃ小十郎、日向ぼっこ行って来るな」
　そのままダッシュで己の右目の傍を通り抜け、庭に出て直ぐに屋根の上に飛ぶ。
　さて、彼はいつ頃になったら追いかけてくるだろうか。瓦の上を走りながら、そう思って政宗は笑みを浮かべた。
　久々の追いかけっこは、とても楽しい物になりそうだった。