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拍手再録です。



061:最果て
 
 
 
 終わりはあるの?
 本当に終わるの?
 そのためには、どこまで行けばいいの?
 そこに行くには、どうすればいいの?
 そもそも、僕は終わりに辿りつけるの?
「誰か、教えてくれないかなぁ……」
 両膝を抱えて格納庫の片隅に座りこんで、憂鬱を表情にアリオスは息を吐いた。
 暇つぶしに始めたはずだった自問自答にいつの間にか真剣に取り組んでいて、気が付いたらかなり気分が落ち込んでいて。
 こんな事なら始めなければ良かったと思いながら、よいしょ、と腰を上げる。
 嫌な気分になったのなら、気分転換にふらりと歩いてこよう。
 そう決めて、格納庫から出ようとドアの方を向く。
 すると、ダブルオーの顔が瞳に映った。
 しかも超至近距離。
 思わず固まる。
 そんなこちらに構う事無く、彼は、何でも無いように口を開いた。
「妙なことを考えていたようだが、どうかしたのか」
「え……?……あ…………う……ん………………っあ!」
 返答している間に停滞していた思考能力がようやく動き始めて、アリオスは慌ててダブルオーを突き飛ばすように腕を動かした。結果、それによって動いたのは自分だけだったけれども、とりあえず距離は取れたので問題ない。
 けれども彼からすればその行動は不思議な物だったようで、首なんて傾げていた。
 ……何でこんな態度をとれるんだろうか、彼。
 そんな疑問が脳裏をよぎったが、今はそんな事を気にしている場合では無かった。
「えっと、妙なことって……もしかして僕、思った事全部口にしてたっぽい?」
「だな。本当に終わるかとか辿りつけるとか言っていたが」
「……あう」
 しくじった。頭を抱えながら羞恥に震えていると、ぽん、と肩に手がおかれた。
「あまり何かを深く気にすることもないと思う。なるようにしかならない」
「そう思えたら……良いんだけどな」
「そう思うなら、そう思ったら良いだろう」
「そうなのかなぁ……」
 当たり前の様に彼がそう言うものだから、浮かぶ表情は何時しか苦笑になっていた。
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