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注意というか、何と言うか…何気にリボンズが可哀想なことに…。
イノベイターの話です。五人目は分からないので話の中に入ってませんが。
02.オレンジジュース
「……何をやっているんですか?」
「何って、見たら分かるでしょ?」
ヒリングの言葉に、リヴァイヴは眉間を揉みほぐした。分からないから訊いているのだが……いや、実際はこれは分かる分からないの問題ではなくて。
「……何でこんなにたくさんの飲み物が……?」
「それはアレだよ、リヴァイヴ」
クスリと笑ってリジェネが言う。
「暇だったんだよ」
「それは暇でしょうね。やることは殆どリボンズがやってますから……いえ、だからといってこの状況に納得はいきません」
「固いわねぇ」
「あなた方が自由過ぎなんです」
テーブル一杯に広がっているグラスと、その中にある色とりどりの液体を眺めて嘆息する。こんな様子……連邦の上層部に見せられない。そうしてしまうと……イノベイターの威信に関係する問題になってしまう。そして、彼らからの信用が無くなったら……そう思うと、怖気が走る。信頼が無ければ彼らは自分たちを頼ることはせず、すると計画も頓挫する可能性が出てくるのだから。
こんな馬鹿げた行動によって、リボンズが実行しているイオリアの計画が妨害される。……そんな可能性、早急に潰してしまいたかった。
まぁ……幸い、ここには連邦の人間が来ることはない。だからこその行動と言えばそれまでなのだが…。
それよりも、とリヴァイヴは二人の手にしているトランプに視線を向けた。
「それは?」
「あぁ、これ?」
五枚の手札をヒラリと振って見せ、ヒリングは朗らかに笑った。
「ババ抜きよ、ババ抜き。三人でやってたの」
「三人?二人でなくて?」
「一人は色々あって伸びちゃって。ほら、あそこ」
リジェネが指さした方にはソファーが一つ、ちょんと置いてある。
テーブルの上の有り得なさにばかり視線が行っていたリヴァイヴは、初めてそちらを向いて……衝撃を受けた。
何故なら、そこに寝て…否、気絶し倒れていたのは。
「リ……リボンズ!?」
「いやさぁ、一番最初に負けたの彼で、罰ゲームしたら綺麗にハズレ引いちゃって」
「リボンズにも運がないわねぇ。まさかメロン味のソーダと思って取ってみたのが、無色の炭酸水に黄緑絵の具を溶かしたモノだったなんて」
「……絵の具?」
思わず聞き返したが、その声は二人には届いていないようで。
リジェネとヒリングは二人だけで話し始めてしまった。
「やっぱり髪の色と一緒だったからかな」
「ちょっと!それじゃ私も対象範囲内じゃない!」
「ふふふっ、大変だねぇ、ヒリング」
絶対にそう言う問題じゃないと思いながらも、リヴァイヴは一番近場にあったオレンジ色の液体の入ったグラスを手に取る。
一見、オレンジジュースに見えるソレ。だが、あるいはこれがハズレなのかも知れない。そう思うと……これが兵器のように思えてくるから不思議である。
何となく口を付けて一口飲めば、口に広がるのはオレンジの味。
「あぁ、これは当たりか…」
「リヴァイヴ……え…飲んだ……?飲んだのかい、リヴァイヴ!?」
良かった、と胸をなで下ろしていると、リジェネの悲痛な気がしなくもない声が聞こえてきた。見れば、ヒリングと共に衝撃に震えている姿が目に映る。
え?とリヴァイヴは困惑した。
勝手に飲んだのは悪いのかも知れない。だが、これだけたくさんのグラスがあrのだから、別に一つくらい手を付けたからと言って……それほど咎められるコトは無いと思うのだけれど。
「それ、僕が狙ってたんだよ!?」
「せっかくの貴重な当たりを何てこと!?」
しかし、これは結構な問題行動だったらしい。
涙目で詰め寄ってくる二人に押されつつ、リヴァイヴは、どうしようと頭を悩ませていた。
……どうやったって、どうしようもない気がしたけれど。
リヴァイヴは常識人なんじゃないかなぁ…と思う、今日この頃。