[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
凄いご無沙汰。お久しぶりです、ロクお兄さん。
最近、二期ばかり上げてたからね…
途美学園設定です。
09.封筒 (途美学園)
「さーて……どうするかねぇ…」
呟くロックオンの手には、一通の手紙。
可愛らしい封筒に入れられていた、これまた可愛らしい便箋……その内容をついつい読んでしまったのが始まりだった。
これは、どうすればいいのだろうか。
見なかったことにするのも手だが、それは何だか気が進まない。だからといって捨てるというのもどうかと思われるし……。
そんな悩みを抱えたまま六限目終了を知らせるチャイムを聞き、若干の焦りを覚える。
マズイ。こんな状態を知り合いに見られたらとてつもなく都合が悪い。何か言われることは必至であり、何かされることも有り得なくはない。さらに言うと、この手紙についての結論が出ないままにとある一人に会うのは…遠慮したい。
早急にそこから離れていこうとしたのだが。
「あれ?どうしてこんな所に居るんです?」
「終礼始まんぞ。テメェのクラスに行かなくていいのかよ」
タイミング悪く、二年生の双子に遭遇してしまった。
慌てて手紙を懐に入れて、歩いてきた双子に向かい合う。タイミングが良すぎることについてはもう、自分の貧乏くじ体質のせいだろうから何も言わない。
……というか。
「ハレルヤ、その言葉は綺麗にそのままお前らに返す。終礼どうしたんだ?」
「僕らは今日は早めに帰って良いって許可が出てるんです」
「学園所有者様から使いを頼まれてんだ」
「へぇ……何を?」
その問いに首を傾けて、アレルヤが一言。
「えっと……ホールケーキと…」
「それからBB弾とそれの銃。あと本物の銃もあるんだっけか?」
「うん。日本刀も取ってこいって言ってたね」
「……うわ…うちの学園のオーナー、普通に銃刀法違反かよ…」
しかも銃器も刃物も両方。
警察にバレれば学園も所有者も大変なことになるが……そこの所、抜かりはないのだろう、きっと。既に警察は買収されているか、とんでもない弱みを握られているような気がする。そして多分、あながち間違いではない。
あの御仁はどこまで行くんだろうと思いながら、ロックオンは溜息を吐いた。
「……ま、そういうことなら捕まらんとは思うが……気をつけろよ」
「テメェに気遣われる心配なんざねぇよ。俺が付いてて尚、アレルヤを危ない目に遭わせるとでも思ってんのか?」
「いや……ハレルヤのせいで色々と巻き込まれた事があったような…」
「怪我はしてねぇから良いだろ?」
「…そーゆう問題?」
呆れ半分の口調の双子の片割れの頭を、ハレルヤは笑いながらポンと叩いた。
「そーいう問題なんだよ。…で、俺はこのロリコンと話があるから先、行ってろ」
「話?……良いけれど。早めに来てね?お使いとととって終わらせたいから」
「はいはい、分かってますっての」
「どうだか……ロックオン、ハレルヤをしばらくお願いしますね?」
ペコリと礼をして靴を履き替え、去っていく後ろ姿を見ていると、ポツンとハレルヤが呟くように話し掛けてきた。
「テメェ、何隠しやがった?」
「何のことだ?」
「しらばっくれてんじゃねぇよ。鈍いアレルヤ様はさておいて、俺が気付かねぇとでも思ったのか?バッチリ見えてんだよ、テメェがアイツ見て慌てて何か隠したのがな」
どうなんだ?と詰問するようにこちらを見るハレルヤには、隙というものが一切見えなかった。下手な嘘も上手な嘘も、全て勘づかれてしまうだろう。
やれやれ、と降参のポーズを取ってから、懐に手を入れて件の手紙を出す。
「これだよ、俺が隠したの」
「…ラブレターか何かか?」
「そう。アレルヤあてにな」
「……成る程、理解したぜ」
そう言ってフッと笑ったハレルヤは、彼の靴箱のフタを開いて直ぐさま顔を顰めた。
何だ?と思いながら覗いてみると、そこには封筒があって。
ハレルヤはそれを取ると、中身を確認もせずにロックオンへと寄こした。
「それ、両方ともテメェで始末しとけ」
「おいおい……せめて読んでやれよ。お前にラブレター出すのって、えらく勇気が要ると思うぜ?その心意気とかに免じてとかよ…」
「知るか。てーか、アレルヤのヤツ取って隠したテメェが言えるセリフと思うな」
言い捨てて、外で待って居るであろうアレルヤの元へと走っていくハレルヤ。
その後ろ姿を眺めながら、ロックオンは苦笑した。
「…違いない、な」
カテゴリーを悩みましたが、緑のお題なのでロク(ニル)アレに。途美にしようかとも思ったんですが…。
こういう事があっても良いと思います。