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ぷち連載スタートです。
昨日の鬱が少しでも飛んでいったらいいなぁ……
……彼が食堂に入ってきたときから妙だとは思っていた。何だか歩みもふらついてるし、顔も少し赤いし。しかも入るとき、半開きのドアに頭を思いっきりぶつけて痛そうにしていたし。
いつもの彼ならそんなヘマはしないだろうに。
朝食をとりながらも不審というよりむしろ不思議に思いながら眺めていると、彼はこちらにきて「隣、いいかい?」と話しかけてきたのでかまわない、と答えた。
ありがとう、と微笑んだ彼はふい、と視線を軽く上に上げた。
もちろんそこには何もない。
推測するに、彼は今、彼の片割れの話を聞いているのだろう。
彼は微笑んで、呟いた。
「えー、ハレルヤ、大丈夫だよー。ちょっとフラフラするだけ……」
「いや、少しじゃないだろう」
ついつい、自分に話しかけられたわけでもないのに口を挟んでしまう。
それほど彼の状態は変だった。
「刹那まで……」
そう言う彼の顔は、さっきよりも赤くなっていた。
もしかして、と思い、手を彼の額に当てる。
突然の行動に驚いたらしい彼は一瞬、身を離そうとしたが、結局止めたようだった。
それはともかく。
「………………………アレルヤ、部屋に戻って寝ていた方がいい」
「え?どうして?」
「…分からないのか?」
自分のことだろうに。
さすがにこんな状態になってまで気づかない、というのはどうしたものだろうか。
ため息をついて、彼の片割れに同情する
手を彼の額から離して、もう一度ため息。
「風邪」
「かぜ?」
「あぁ。アレルヤは風邪をひいている」
手から伝わった体温はとても高かった。よくもまあ、食堂まで倒れずこれたな、というくらいには確実に。
呆れ半分、心配半分の目で彼を見る。
彼はどうしてかはしらないがキョトン、としていた。何を言われたか分からない、という感じで。
訝しく思う。変なことは何も言っていないはずだ。当たり前のことを口にしただけ。トレミーの他のクルーに訊いたって、変だとは言われないはずだ。なのに、どうして?
そう刹那が考えているとは知らず、アレルヤは小首をかしげた。
「……かぜって、何?」
「………は?」
彼の口からこぼれた言葉に思わず、刹那は持ちなおしていたスプーンを落としかけた。
いや、知らなかったら楽しいいいなぁ、とか思ったので。