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文章は00とSDのコラボが一つ。
それから、トリニティとハレアレの話が一つです。
こちらは区切ったので、何回かクリックしてもらわないと全部は見れません。
「あ、そういえばこの部屋、リンゴ置いてあったよな」
リンゴ?
訝しく思って、刹那はロックオンを見た。
突然何を言い出すのだろう。というか、どうしてそんなことを知っているのだろう。
「あぁ、この前ロックオンがくれたやつですね。それならあの引き出しに」
「丁度いい機会だし、むいてやるよ」
胸ポケットから果物ナイフを取り出す彼を見て、刹那は気づいた。
……始めからこれを狙っていた!?
そうでなくてはこの果物ナイフの説明がつかない。ロックオンの場合、護身用に持つとしたら銃で、刃物類ではないだろう。
まぁ、リンゴを渡したのは今日のためとかではなかっただろう。予測するのは不可能だ。
「お、あったあった……って一個しか減ってねーぞ?結構時間経ってるだろ?」
「ハレルヤが機嫌悪くなるんですよ。あんなやつからもらったものを食べるなって」
「あいつらしいなぁ……」
にこやかに話している二人を眺め、ようやく刹那は理解した。
ロックオンも、もしかしたらティエリアと同じくらい……いや、素直に感情を出す分彼よりも……
手強い?
相手の力量を見誤るなど、戦場では命取り以外の何者でもない。
というのに、刹那はロックオンの実力を計り間違えていた。
これはもしかしなくとも、危機なのではないだろうか…?
その事実に戦慄したが、表には出さないようにつとめる。
ここでこの感情のブレを知られてしまったら、本当に危ない。
「刹那、こっちこいよ。リンゴ食おうぜ~♪」
「あ……あぁ」
ロックオンのいつも通りの話し方に、自分の危惧は杞憂だったのではと期待したのだが。
一瞬だけ。一瞬だけだったが。振り返ったロックオンは
にやり
と笑った。間違いなく笑った。
それを見てしまった刹那の背に、冷たい汗が流れたのは仕方のないことだっただろう。
「どうしたんだ、刹那?」
「い、いや……別に」
お前のせいだ!と言ってやりたかったが、それはできない。アレルヤの前だ。
そこまで計算し尽くしているというのだろうか……長く生きている(といっても20代だが…)大人というのは、まったくもってずるがしこい。
「刹那、見てみて!ロックオンがリンゴをウサギ形に切ってくれたよ。上手だねー」
「そうだな」
それは認めよう。いくらなんでも事実を事実と認めないほど、刹那は子供ではない。
ただ、敵の手でむかれた、爪楊枝で刺されたウサギのリンゴを嬉しそうに眺めている彼を見るのは、いささか複雑な気分だ。
「食べる?」
「あぁ」
訊かれたので頷いた。リンゴは嫌いではない。
「はい、」
「………」
それから、予想外の彼の行動に、固まる。
何故なら、彼は持っていたリンゴをこちらに渡すとかでなくてその……
状況を簡単に、とても簡単に言うと……「アーン」とか言ってそれで食べさせてもらうようなそんな……。いや、もちろんそんな言葉はないけれど、シチュエーションとしてはそんな感じだった。
が、迷ったのは数秒だった。
慌てているロックオンを尻目に、刹那はパクッとリンゴにかぶりついた。
「おいしい?」
訊かれて、素直に頷く。
今、刹那はとても幸せだった。
こういう行動を取ってもらえるというのはつまり、それだけ心を許してもらっているということだからだ。
「アレルヤー、俺にも食べさせてー」
「いいですよ」
だが、その幸せがまさに、壊されようとしていた。
まずい……このままでは。ロックオンまでこの幸せを享受してしまう。
どう妨害しようか考え出したその時。
「ロックオン、デュナメスの点検するからちょっと来い」
なんという幸運だろうか。
開いた扉からはイアンが顔を出していて、その足下ではハロが跳ねていた。
「あ、あぁ、そうか」
「ロックオン、今日休みってそういうわけだったんですか」
納得した風に、アレルヤ言った。
まあ、確かに点検中にミッションは無理だろう。
「おやっさん……なんつータイミングで……いいとこだったのに」
呟いて、ロックオンは頭を掻きながら立ち上がった。最初の一言以外は小さな声で、近くにいた刹那以外には聞こえていないだろう。
「いてらっしゃい、ロックオン」
「終わったらまた来るなー」
手を振って、ロックオンは部屋から出て行った。
隠れた強敵は、こうして消えた。
ほっとした刹那だったが、一つ、忘れていたことがあった。
それはもちろん……
ロク兄は大人なので、いろいろと考えていると思います。
次はとても手強いはずの『彼』が出てきます。