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久々所じゃないですよね、これの更新。
人の愚かさには、どれ程経っても慣れることはない。
自分たちという『意思』が生まれてから一つも変わらないその様子に、ただただため息が出るだけだ。少なくとも、現時点ではただそれだけ。
とにかく、本当にバカらしいと思うのだ。
どうしてこんな、人間同士、同族同士て殺し合いが行えるのか。
そんなこと、必要に迫られない限りは野生生物だってさほどは行わないだろう。それを、人間は実に大々的にしてみせる。違う人種ならば同族ではないという事なのか。だとしても、それはあまりにも浅はかな考え方だ。
だから。
ヴァーチェとしては、ケンカ両成敗のこの介入の仕方を、それほど嫌ってはいなかった。
「宗教の違いによる争い……」
本当に人間とは他人との違いを探すのに長けている。そんな特技を作り出してどうするつもりなのかと、本気で首を傾げたい。違いを見つけてしまうから戦いが起こってしまうのだろうに、わざわざその戦いの火種を探し出して見つけて火を付ける、その行為の必要性が全く分からなかった。
考え方が違うのなら考え方が違うと、とりあえずそう受け入れればいいだろうに。
それさえも出来ないのかと呆れかえる思いだ。
「…まぁ、良い」
どうせ言えたところで変わることなど無いだろうし、だからといって自分が彼らを理解するつもりもない。そんな事を行う理由をヴァーチェは見いだしてはいなかった。ならば行う必要はないと言うことである。
所詮、人間は人間、自分たちは自分たち、だ。人間の気持ちなど分からないし、分かる気もない。そもそも分かるようになることもないだろうと思うし、分かるようになるための流れという物が用意されていない。
考えを巡らせている間にGNバズーカで溶解させた戦艦に注意も払うことなく、ヴァーチェはそのままその場を後にした。ミッションが終了したのならこの場に残っておく理由もない。バカらしいこの事態の中にずっといるのは面倒だった。
こんな所で人間たちを相手に戦っているよりは、母艦の方で仲間たちと一緒にいる方が数百倍もマシだ。
そうしてしばらくして、ヴァーチェは仲間と合流した。
……が、一人足りない。
「デュナメス、エクシアはどうした?」
『んー……何かな、エクシアのマイスターは今回の介入で色々と思うところがあったらしくて、一人でさっさと行ったらしい、と』
『大丈夫かな…エクシアのマイスターの人』
デュナメスからの簡単な説明の後、心配そうなキュリオスの声が通信を通して届く。
何を心配しているのだと、ヴァーチェは少し息を吐いた。
「放っておけば良いだろう。まさか帰ってこないというわけもあるまいし」
『誰かと出くわして、負けるとかは考えないんだな…お前』
「当然だ。俺たちが負ける理由が見あたらない」
ガンダムというのは、現MSのどれよりも高い性能を誇り、燃料切れの心配がない機体だ。それが負けるという事態は中々に引き起こることはないだろう。
もちろん大群でこられたら拙いことにはなるだろうが、それはそれ。現段階でそれがなされることはほとんど無いとヴァーチェは思っていた。彼らはまだ、自分たちの存在について様々な疑いを持っている。
危ないのは、その疑いが無くなったときだ。
その時、人々は手を取り合いCBを抹消しようとするだろう。
そのようなことも所詮は未来の話。今はそれに関して思いを巡らせている時期ではない。時が来ればいずれ、どうしたってそれを考えなければならないときが来るだろう。
『でもヴァーチェってやっぱり凄いよね』
「…は?」
と、唐突なキュリオスの言葉にヴァーチェはついつい惚けた声を上げた。
突然、何を。
驚いているこちらに構わず、目でもキラキラと光らせそうな調子で彼は続けた。
『だって、あんなに大きな戦艦もあっという間に溶かせちゃうんだもの。僕には無理だから凄いなぁって思って……』
「…君にあれが出来ないのは当然だろう」
機動力がある上にあれを出来るとなると、それはもう何というか…強すぎる気がする。
『あと、デュナメスの射撃能力も凄いし、エクシアも接近戦が凄かったし…みんな凄いね』
『そう言うキュリオスも頑張ってただろ?』
『僕はまだまだだから…』
「いや、そうでもないぞ」
用途が違うのだから、他と比べて出来ないことがあっても何の不思議もない。
というか、全てを出来るようになられたらと思うと……いや、その時はその時で楽しみな気もするが、実際問題どうだろうかそれは。
そんな時、ふいにエクシアからの連絡が入った。
『皆!こちらには絶対に来るな!』
『…え?エクシア?』
『絶対にだぞ!』
強い調子で言い切って、そのまま連絡が途切れた。
……何だったのだろう、今のは。
エクシアはただ今グラハムと交戦中です。