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涙ってタイトルですが、シリアス要素は全くなしです。
057:涙
「あらあら」
奈々が彼を見つけたのは、洗濯カゴをのぞき込んだときだった。
そういえば、昨夜から姿が見えないと思っていたのだけれど。
「ランボちゃん、どうしてこんな所にいるのかしら?」
「…リボーンのバカのせいだもんね」
「リボーン君の?」
またケンカでもしてしまったのだろうかと、困った子たちだと苦笑する。もうちょっとくらい仲良くできたら良いのにと思うけど、それはもしかしたらとても難しいのかもしれない。それでも、いつかは仲良くなれると思う。
ランボを持ち上げて、涙目だった彼をあやすように抱く。
「一体何があったのかしら?」
「リボーンのバカがね、ランボさんのデザート取ってった」
「あらぁ…それは大変だったわね」
「本当だい!ランボさんショックだったもんね」
「じゃあ、これから何か食べる?丁度ヨーグルトがあったと思うわ」
「食べる!」
「ふふっ…じゃあ、リビングに戻りましょう」
途端に機嫌を戻したランボに笑みを浮かべながら、デザート云々の前には色々な攻防でもあったのだろうと推測してみる。昨日の晩といえば、ちょっとした買い忘れをスーパーに買いに行った頃の事だ。奈々が知り及ぶ場所の話ではない。
後でリボーンの話も聞いてみることにして…それよりも先はランボの機嫌直しだ。
ヨーグルトだけで大丈夫だとは思うけれど、それでも機嫌が直らなかったらゼリーでも出してみようか。冷蔵庫の奥にあるとっておきだけれど、こう言うときならば使っても良いに違いない。ちゃんと、今はいないメンバーには後で出せば良いだけの話。
もちろん、機嫌が直ったのにそれでもねだろうとしたら、その時はちゃんとダメだと言うけれど。
ふっと見直してみて、すっかり泣きかけていた彼の目から涙が見えなくなっているのを確認して、少し笑んだ。
奈々さんは最強だと思うのですが。