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ついに40突入です擬人化100題。
…何となく頑張ってるなぁ…。
さて、今回も元・黒い子が出てきます。熱暴走中です気をつけて。
40:ピアノ
これは本当に大変なことになっている。
目の前の光景を見て、思うことはただそれだけだった。というか、それ以外に一体何を思えばいいのだろう。いつもの三人で一緒にいたところ、ふっとこちらのメンバーのことを思い出してきてみれば、想像以上の光景が広がっていたという、この状況で。
とりあえず。
デスティニーは団扇でパタパタと黒髪の少女に風を送っていた。
「大丈夫か…?」
「…うー…」
「大丈夫じゃないってさ」
「そうか…ってか何で通訳出来るんだ?」
「そりゃ、常日頃から一緒にいんだから当然だろ」
「それもそうか」
アビスの言葉に頷いて、改めて、少女の方を見る。
本格的にグッタリとしている少女は、まぁ、アビスがいる時点で確実に想像が付くだろうが、ガイア(黒)だ。どうやら暑さにとてつもなく負けてしまっているらしい彼女は、床の上に倒れ込んでしまっていた。
これは重傷だと思いつつ、おいてきたザクウォーリアたちは大丈夫かと考えた。が、どうせ大丈夫だろうしあっちはもうどうなろうと知ったことではないと、昨夜の事を思い出して思考の外へと追い出すことにした。ちなみに、昨夜に何があったのかは誰にも教える気はない。教えたくないというか、何というか、なのだが。
とにかく、彼らも日頃のことを悔い改めてみても良いと思うのだ。特にレジェンドの方。ザクウォーリアはまだ普通の時があるのだが、レジェンドは毎回毎回という頻度の茶々入れを行ってくるのだ。たまには置いて去っていくのもアリだろう。
そうやって自分を正当化しながら辺りを見渡し、欠けている一名を思って首を傾げた。
「カオスはどうしたんだ?」
「トラの兄さんと一緒に病院」
トラの兄さん、というのはガイア(赤)のことである。
…というか、そこは良いのだが。
「……病院?一体何があった?」
「よく分からないけど、カオスのヤツが倒れて」
「倒れ…アイツが!?」
「信じらんねーだろうけど、本当なんだぜ」
「……自然の驚異は何よりも強いってことか…」
「だな…」
二人して、視線を合わせて頷き合う。
いやはや、自然というのは偉大だ。あのカオスですら倒すことが出来るのだから。もっとも、自然というのは自分たちの場合は何かおかしいような気もするが。何せ、ここはコロニーである。完全なる自然という事も無いだろうし。
…コロニー?
「…そういえば、この気候も管理されてんのか?」
「あー、そういやどうだか知らねーな」
「……どうでも良い…」
足下から地を這うような声が聞こえてきて、あぁと視線を下ろす。
ガイアは、相変わらず床に突っ伏したままだった。
そのまま、どうやら口を開いているらしい。
「とにかくこの暑さがいなくなるならそれで良いかも……」
「ガイア、気を確かに持て」
「無理……あ、ピアノ」
「ピアノ?」
ゆるりと顔を上げたガイアと同じ方向を見ると、確かに、そこには黒いピアノがあった。こんな所にこのような物はあっただろうかと首を傾げる思いだったが、実際にあるのだからあるということで良いのだろう。ご都合展開とか色々と考えてはいけない。考えたら負けなのである。
それはともかくと、あのピアノがどうかしたのかと訊こうとガイアに視線を向けて、瞬間、デスティニーは後悔した。多大な、深い後悔だ。
何故なら、ガイアは疲れ切った笑みを浮かべていたのである。
「うふふ……黒いなんてかわいそう…やっぱり暑いわよね…暑くて仕方ないよね…」
「ガ…ガイア……?」
「そんな状態でいるくらいならいっそ、死んだ方がマシよね…」
「ちょっ…デスティニー、ガイアを止めろ!何か熱暴走してる!」
「お…おう!」
アビスの言葉に慌てて起き上がったガイアを後ろから羽交い締めにしたデスティニーが、最初に感じたのは異常な気配だった。数秒ひるんで、直ぐにその正体に思い至って腕の力をさらに込める。
「ガイア!頼むからデストロイにならないでくれ!」
「……せめて、苦しまずに…」
「正気に戻れーっ!」
悲痛な叫びが室内を、満たした。
擬人化状態でデストロイになったら、多分攻撃力が飛躍的に上がります。
そして熱暴走中ガイア(黒)と、熱にやられて倒れたカオス。
まぁ、カオスは完全な黒ってワケじゃないようですけど、そこは結構機体色が黒っぽかったからって事でお願いします…ちょっと色々巡って調べたけどよく分からなかったんですよ…青がかった黒?…違うかもですが、それでもこの話はこの話のままって事でごめんなさい。