式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
このお題シリーズ(type4)も、そろそろ終わりますね。
016:孤城落日
今年は、あまり農作物が取れなかった。
それはつまり、今、つまり冬がとても厳しいと言うこと。冬には何も取れないし、何も無い。あるとしたらそれは息を潜めている生き物の気配と、足音を忍ばせてやって来る死の気配くらいの物であって。
それを思うと、いつきは今から憂鬱だった。
まだ冬は始まったばかりだから良いけれど、このままでは死人が出るかも知れない。そして、そこに自分は絶対に入らない。入れてもらえない。この村の仲間たちが、自分にそんなことが起こるなんて事を許すワケがない。
だから、憂鬱。
出来ることなら自分がみんなを助けてあげたいのに、助けられてしまう事が悔しい。助けられないことが悲しい。助けてくれるみんながいつも笑顔であるのが、苦しい。
出来ることはないのだろうか。自分にだけしか、出来ない何かが。
考えて考えて、いつきは、一つだけ思いついた。
「あのお侍さんに頼んでみるべ…か?」
あの、青い色のお侍さんに。
けれども、あちらも大変な現状なのではないだろうか。そう思うとやはり、それもやってはいけないことであるように思える。だとしたら、一体何をどうしたらいいのだろう。頭を抱えることも出来ず、いつきは雪原を見渡した。
助けを求めるのなら、どこにするべきだろう。それ以外だったら自分に、一体何が出来るのだろうか。
分からないのだが、とにかく、何かをやりたい。
何か、出来ること。
…だからといって、自分がいなくなってしまうのは絶対にダメだ。みんなが一緒になって探しに来るに違いない。それでは迷惑をかけてしまうから、とにかくダメなのである。
結局、出来ることを見つけるのは難しいと、それだけが分かり、いつきは。
ため息を吐いて、とぼとぼと家に戻っていった。
二人とか言って一人しか出てない…のは今さらだろうか。
PR
この記事にコメントする