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もはや二人以上ですらないような。前々から?
017:門前雀羅
ただ一人、静かと言うには音が無さすぎる場所で。
相手を誰も取らず、独りで湯飲みを傾ける。
さてはて、客人はいつになったら来るのだろう。
早く来てくれなければ、大変なことが起こるかも知れないのだけれど。それを知って、今まさに馬に跨り急いでこちらに向かう最中だろうか。
ならば結構。
実に結構だ。
早く来てくれればいい。そうすればちゃんと質は解放しよう。代わりに宝をこちらはもらう。素晴らしい取引ではないか。
彼らが質をいらないというのならば、容赦なく切り捨て殺して獣の餌にでもしてやろう。首は残して送り届け、それから新しい質をこちらに連れてくるのも良いかもしれない。そうすれば、否が応でも宝はこちらに来てくれることだろう。
自分が本気だと相手が知れば、全ては思うがまま。
そして、最初から自分が本気ではないと思うような、彼らは愚者ではないのだ。
だからこそに安心してやって来るのを待つことが出来る。
催促は要らない。
待っていれば来る。
ただそれだけの話。
それが果たして何人で来るのかまでは知らないが、少なくとも宝は来るだろう。それが無ければ話も何も、こちらからはするつもりはない。相手とてそれは理解しているだろう。
しかし、まぁ。
出来ることならば最低限の人数であって欲しいと、茶を啜りながら思う。
ここは静かだ。静かというよりは無音だが。
そして、そんなこの場所を自分は気に入っている。
何の騒も無いこの地にて、集めた物を愛でるのはこの上なく心地よい。
だから、人はあまり来ないで欲しいものだ。
この場はは無音でなければならないのだから。
などと思い。
さく、という足音を聞いて、微かに笑みを形作った。
あれ…名前すら出てきてないような…?
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