式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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この人たちを書くのって、とても楽しいのですが。
14.BGM
「うーむ…」
「どうしたのよ。さ、早く引きなさい」
「ちょっと待て。今、俺のスペシャルな第六感が…」
「それは良いんですけれど、本当に早くしてくださいませんか?今残ってるの、貴方とヒリングだけなんですけれど」
「リヴァイヴ、そう急かす物ではないと思うが…」
「……どうして私たち、こんなことしてるんだろう…」
「そう悲観したような態度を取ることもあるまい。為るべくして為っただけのことだ」
「……………」
べき、と。
手に持っていた端末にヒビが入った音がした。
しかしそれに気付かずに、机を挟んで向こう側にいる騒騒しい一団(数名除く)はトランプの続きをそのまま実行していた。もっとも、残っているのはコーラサワーとヒリングだけなのだがそれはさておいて。
全く、本当に。
「お前たちはここをどこだと思っているんだッ!?」
バンッ、と机を叩いて立ち上がると、コーラサワーがいつもの如く縮こまるようになった。しかしそれだけでなくルイスがびくりと肩を振るわせたのを見て、思わず悟られない程度に舌打ちをした。そちらが気にしてくれても困るのだ。
そして、気にして欲しい…というか気にすべき一団は全然答えたふうではないのである。
いつものこととはいえ…流石に、連日、というのは辛い物があった。
はぁ、と息を吐いて改めて椅子に座り、眉間の皺を揉みほぐす。
「…リヴァイヴ・リバイバル」
「何でしょう」
「ここはどこだ」
「司令官室みたいなものですよね」
「……まぁ、それで概ね合っているか…やけにアバウトだな」
「少しくらい良いじゃないですか。で、それがどうかしましたか?」
「どうかしましたか、じゃ無いだろう…そこまで分かっているのならば、一体どうしてここをそのような遊びの場に変えるんだ、お前たちは」
「それはねー、」
と、どこか楽しげにヒリングが口を開く。
「ここが丁度良い広さで、大佐がいるから」
「私、だと?」
その言葉を反復すると、彼女の笑みが深まった。
「そーそ。ルイス・ハレヴィとミスター・ブシドーは良く分かんないからおいておいても、私たちは大佐に多少と懐いてるんだから。嬉しい?」
「良い迷惑だ」
ピシャンと言って返すと、つまらなさそうな顔になってヒリングはコーラサワーの手札から一枚を取り、顔をしかめた。どうやらお目当てのカードは未だに回ってこないらしい。
その様子を、何とも思わずに眺める。
とりあえず……ライセンス持ちたちと良好な関係を気付かなければならない時があることくらいは分かっている、つもりだ。作戦時に彼らの手が借りられるか借りられないかがどれほど大きな物になるかというのも。何せ、彼らの能力は高い。その上彼らの専用機の性能も高いのだから、当たり前のことだろう。
ミスター・ブシドーというもうどうやってもてこでも動きそうにない相手ならまだしも、きちんとした作戦を立てれば乗ってくるような彼らに懐かれるというのは、まぁ、大切なことだとは思うのだ。本心はどうだか分からないとしても。
だが。
時と場合という物は何にでもあるのだといい加減に知ってくれないだろうか…。
付け加えて……いつもと違ってどうしてルイスが巻き込まれ、ミスター・ブシドーが当たり前のように底に存在しているのか、説明を誰かがやってはくれないものだろうか…。
最近、よく分からない悩みや疑問が増えてきた気がする。
「……はぁ」
「…」
「…ん?どうかし……あぁ、いや、大丈夫だ。気にするな」
無言でこちらを、一見すると分からないが、それでも心配そうに視線を向けてくるブリングに微笑みかけて、マネキンは再び端末の方に視線を戻した。…本当に、手に持っていた箇所がひび割れている端末の方に。
「…よし!これだ!」
「あぁぁ!そっちはぁぁっ!」
「よっしゃあ!やっぱり俺はスペシャルだぜー!」
「ちょっと!一回くらい勝ったからっていい気にならないで!」
「しかもブービーだしね」
賑やかすぎるBGMを耳にしながら、果たしてこの端末はまだ使える物だろうかと、ため息を吐いた。
頑張れ大佐。
…ていうか、何でブシドーはここにいるんだ、本当に。
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