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うん…まぁ、そういうこともあるさ、と言う事で。
「…何も起こらないぞ」
理科の『実験』の中で。
本日の被検体に選ばれてしまったセラヴィーは、本当は飲む必要もないのだろうが自分が断れば他の誰かが犠牲になるのでやむを得ず、渡された薬を飲みほした後に首を傾げた。体が縮む事も妙な耳が生える事も性別が変わることも、何一つとして起きない。違和感が体の中に全く無いのである。
失敗だろうか?と思ったが、ギャンが唖然としているから多分違うのだろう。あの顔は効果がある事を知った上で実験したと言うのに、結果が出ていない事に驚愕している顔だ。
「えっと…ギャン先生…」
セラヴィーの前に立てと言われていたアリオスが、不思議そうに不安そうに理科教師の方を窺う。
「何も起こってないですよ…?」
「……馬鹿な…そんなはずは…………いやまて…あぁそうか……」
「…?説明しろ」
一人で何事か理解してしまったらしいギャンに説明を求めると、彼は一階頷いた後、あっさりと口を開いた。
「その薬はだな、飲んだらツンデレになる薬だ。飲んだ後に初めて見た対象に対してツンデレになるんだが、」
「が?」
「反応が出ないとなると…元からツンデレだったということだろう」
「……」
何だそれは。
自分が『ツンデレ』などというワケの分からない…いや、意味は知ってるけれど……ものであるとは到底思えないのに、そんな説明に納得など出来るわけがなかった。
「デレデレになる薬でも取っておけばよかったか…?」
一人でブツブツと呟いているギャンから視線を逸らし、セラヴィーはアリオスの手を引いて席に戻った。どうやら『ツンデレ』という言葉になじみがなかったらしい彼は、きょとんとしたまま動きを止めていたのである。
全く……無駄な時間を過ごした。
先ほど言われた事を思い出し苛ついていると、ぽつんと、アリオスが零すように言った。
「ねぇ、セラヴィー」
「…何だ」
「意味は分からないんだけどね……明日からさ、もしかしたらセラヴィーのあだ名が『ツンデレ』になるんじゃないかな…」
「……」
それは、教室内のざわめきを見れば一目瞭然だった。
というか、セラヴィーはツンデレじゃなくてツンツンだよねとか。どっちかっていうと。
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