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まぁ、恋といえば恋ですか。な、幼少幸村と佐助さん。
03:恋の苦しみ
それに初めて会ったとき、弁丸の目は完全にそれに釘付けになった。
そう、それはいわば。
一目惚れ。
…だが。
「…」
辺りをぐるりと見渡しても誰もいないこの状況で、弁丸でも流石に手を出すのは憚られた。果たして手にとって良いのか悪いのか、それすらも分からなかったのである。
果たしてコレは良いのだろうか…悪いのだろうか。
悩めば悩むほど手を出したくなり、同時に、出すこともいっそう躊躇われるようになる。
悪循環、という物に弁丸は陥っていた。
まぁ、それでも、結局は最終的には。
手を伸ばしかけたのである、が。
「…何やってんの?」
「…何奴!?」
突然にかけられた声に手を引っ込め、弁丸は勢いよく後ろを振り返った。
「あ、ちぃ旦那」
「佐助!?」
果たして。
そこにいたのは佐助で、彼は手を引っ込めるのが速かろうと全てをお見通しらしく、どこか呆れたような表情を浮かべてこちらを見ていた。こちらとしては見られたという気まずい思いがあるので、さりげに視線を逸らした。
しばらくの、膠着状態。
破ったのは、やはりというべきか、佐助だった。
彼はハァとため息を吐いて、弁丸の目の前にあったそれの皿を持ち上げた。
「これ、食べたいんで?」
「…そうなのだが、どうしたものだろうか。食べて良いと思うか?」
「んー、問題はないんじゃない?ていうかコレ、多分ちぃ旦那のために用意してくれた甘味だと思うしさ」
「誠か!?」
「あくまで推測なんだけど、間違ってはないと思う」
「うむ!ならば間違いはないのだな!」
佐助が言うのなら絶対に正解だと、弁丸は皿から団子を取った。みたらし団子、である。
見た瞬間に、これは絶対に生石と思っていた。そのくらいはどうしてだか、見ただけで分かる弁丸である。しかし食べて良いのかと考えるとそれはハッキリとしないのであって、手を出すのを躊躇していたりしたのだ。その時の苦しみと言ったら本当に、倒れてしまうかと思ったのだけれど。
だが、今、弁丸は佐助の許可を得た。
つまりは、食べても良いとお墨付きを得たのである。
したがって、団子をほおばる弁丸に躊躇いはなかった。
「佐助!これはとても美味しいぞ!」
「でしょーねぇ。で、ちぃ旦那、ほっぺ汚れてるけど」
「後で舐め取るから良いのだ!」
「舐め取…っ……あぁ、指ですくってからか」
「残しては勿体ないからな!…そうだ、佐助」
と、弁丸は皿から団子を一串取って、佐助の方に渡した。
「佐助も食べると良い。とても美味しいぞ?」
「へぇ…良いの?ちぃ旦那が食べる分が減るけれど」
「……良いから食べるのだ」
「ちぃ旦那ー、そんな血の涙流されると受け取りにくいよー?」
などと言いながらも、佐助は苦笑しつつ団子を受け取ってくれた。
それを満足に見て、弁丸はもう一本に取りかかることにする。全部で五本あるから、それを食べてしまっても後二本ある。
とても幸せな気分だった。
「佐助、今眠ればとても良い夢が見られる気がする」
「だからって食べた後直ぐに寝ないでね、ちぃ旦那。部屋まで運ぶの結構重労働なんだからさ。分かった?」
「承知したぞ、佐助!」
「そりゃ良かった。じゃあさっさと団子、食べちゃってくれる?向こうに戻らないといけないでしょ?」
「む。それもそうだな」
ずっとこちらにいては、自分を送り出した父や信玄に心配をかけてしまうかも知れない。
そう思ったので伝えると、佐助は何とも言えない表情を浮かべた。
「や…心配はされてないと思うよ?ていうか動きは逐一知られてそうな予感が」
「何と…お館様は超能力者なのだな!」
「いや、違うって」
昔っから一緒にいたっていう事にしちゃいました。もう良いじゃないか一緒にいたって。
でも実際、いつ頃出会ったんでしょうか。
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