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梅のお題もお久しぶりですね。ていうか、もうすでにカテゴリとか頓着なしに…。
10.不良品
頭から離れない言葉がある。
あの、自分と同じ顔をした相手が述べた、あの言葉。
自分はイノベイターである、ということ。
もしも…いや、間違いはないだろうが、それが本当だとしたら。
自分は。
一体、どうすればいいのか。
考えてもそう簡単に分かる内容ではないことくらい分かっている。けれども、それでも、だからこそに、考えるのを止めることは出来なかった。結論を何としてでも出さなければならない内容なのだ、これは。
果たして、自分は何を選ぶべきか。
そんなこと、分かっている。今の、自分の属している組織を選べばいいのだ。それが、四年前に自分が選んだ選択なのだから。
だが、今、ここで迷っている自分がいることは否定できない。
…どうして、迷うなど、と。
決めたはずなのに、どうしてこうも心が揺れるのか。決めたと思っていたこの意志は、あるいは決めたと思いこんでいた虚だったのだろうか。だとしたら、自分は。
何と、愚かな。
いや…違う、そうではない。自分が愚かであろうとどうであろうと、今は関係ない。問題はそこではなく、自分が一体どれを選ぶべきなのか。
考えなければならない。
答えが出ないのだとしても。
考え続けなければならない。
考えなければ。
考え…
「ティエリア?」
と、唐突に声が耳に届いて、ティエリアの意識はふっと現実に戻った。
ぼやけていた焦点を合わせてみれば、目の前にいたのは無表情ながら気にはかけている様子の刹那、心配そうな表情のアレルヤ、それと不思議そうな顔をしているライルだった。
「…大丈夫?」
「何か考えている様子だったが」
「教官さんでも考えて詰まることがあるとはねぇ」
「…僕だって考え込むことくらいある」
「まぁ、そりゃそうか。人間誰でも考え事くらいはあるよな」
「…」
その言葉に、少しの沈黙。
そう、自分は人間だ。ならばやはり、取るべき選択肢は一つだ。
などと…思ってみたところで、迷いが消えるわけでもなく。
どうしてこんなに不完全な存在なのだろうと、ティエリアは自嘲の笑みを心の中で浮かべた。不完全で良いのだと学んだのも四年前だったと思うのだが、尽くあの時に学んだ事柄が崩れているような気がする。
代わりにため息を一つはいて、心配しなくても良いのだと伝えるべく顔を上げた、丁度その時に刹那が口を開いた。
「悩みがあるのなら言った方が良い」
「…刹那?」
「そうだよ、ティエリア。僕らは仲間なんだ」
「隠し事は不要ってこった。分かったならとっとと言っちまえよ」
「…そうか…そうだな」
仲間に隠し事というのは、確かにいけないかもしれない。
微かに笑んで、それでも全てを明かすことはすまいと、表面だけをさらって説明することにする。つまり、自分が自分の役目を…充分に、果たせていないのではないか、と言うことだけを。これだけでは事情を察することは無理だろうが、それで良い。まだ教えるには心の整理が出来ていないのだ。隠し事になって、申し訳ないのだが。
ティエリアの言葉を受け、最初に反応したのはアレルヤだった。
「ティエリア、そんなことを言ったら僕らは全員それに当てはまる」
「その通りだ。俺たちの出来なかったことを挙げればキリがないだろう」
「ちなみに俺も同感だ。ていうかこのメンバーで誰より出来てないの俺じゃないか…?」
「…ま…まぁ、ライルはまだ参加してしばらくしか経っていないし」
「けどねぇ…」
「ともかく、こういうことだ」
どうだ?と刹那に問われ、ティエリアの表情はゆるんだ。
「気にする必要がない、と言うことはよく分かった」
そして、彼らの気遣いの暖かさも、よく分かった。
今はそれだけで良いと、思った。
みんなでティエリアを元気づけようの会、でした。
みんな仲良し!
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