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W組のお話です。上・中・下で終了予定。
「ウイングが悪いと思う人ー」
「……」
「反省しなきゃって思う人ー」
「……」
「出て行ったヒトを追いかけるべきだと思う人ー」
「……」
「でも追いかけずに家にいるのはダメだと思う人ー」
「……」
「ウイングが悪、」
「……何をやっとるんだ」
返って来て早々の光景に、ナタクは呻いた。
困惑交じりのそれに一番最初に反応したのは、室内で唯一言葉を発していたサンドロックで、あ、と声を零した後に二コリを笑った。
「やぁ、お帰り」
「お帰り……は良いんだがな」
ぐる、と、先ほどのやり取りの中で沈黙をもって同意を示していたヘビーアームズと、やり取りが中断された今でも気まずげな表情でそっぽを向いているウイングとを見やり、再びサンドロックの方を見る。
「何があったんだ?」
「大したことじゃないんだけど……いや、大した事なんだけどさ」
呆れを前面に押し出した表情で、サンドロックは言った。
「ウイングがデスサイズ怒らせちゃって、怒った本人は凄い勢いでここから出て行ったんだよね」
「それはウイングが悪いな」
「でしょ?」
「……何で怒らせたのかは聞かないで分かるのか」
「怒らせた時点でお前が悪いのは間違いないからな。というか、どうせ自爆の話だろう」
「……」
するりと会話に入ってきたウイングの言葉をばさりと切り捨てると、彼は再び黙り込んだ。自分が悪いと彼自身も分かっているようだから、反論するにも何を言える事が見つからず、居心地の悪い思いをしているのだろう。
自業自得だと思いながら腕を組み、黙り込んだ相手に向かって言う。
「それで、どうするんだ?」
「……少し出かけてくる」
がた、と音を立てて席を立ち、謝りに行く事にしたらしいウイングは、どこか安堵した表情を浮かべてドアの方へ向かった。
そして、
「気を付けてねー」
その背にかけられたサンドロックからの言葉に答えず、彼は部屋から出て行った。
見送った背がドアによって隠された頃、ナタクは息を吐いてにこにこと笑顔を浮かべているサンドロックと、未だ沈黙を守っているヘビーアームズの方に視線をやった。抱いている感情の中にウイングに対する同情が含まれているのを何となく理解しながら、である。
「……わざとか?」
「何の事?」
彼が返してきたのは何気なく聞けばはぐらかそうとしているだけの言葉だったが、それが単にこちらに続きを言うように促すものだと気付き、再び息。
面倒なことなど全部放り出して、普通に話す方が楽だと思うのだが。
こんな自分の考えも見透かした上でこんな態度を取ってくるのだから何と言うか、本当に……敵に回したくない。
「お前たち、責めながら、アイツが出て行く隙を与えなかっただろう」
「まぁね」
仕方なく思った事を口にすると、あっさりと肯定が返ってくる。
そんなに簡単に頷くのならばもっとあっさりと答えれば良いのにと思いつつ、どうやらこれからは普通に話してくれそうなので、口を閉じて聞く態勢に入った。
自分のそんな態度が分かったのだろう、彼は肩を竦めて口を開いた。
「いやさぁ、ボクらもちょっとは自爆とか押さえて欲しいとか思ってるわけだから、たまにはこういうのも良いかなぁって思って。責めてる間、謝りに行きたいって顔に書いてあったのは分かってたけど、ね」
「だからあの安堵の顔か……」
部屋を出る時の彼の顔を思い出しながら、何だか彼が哀れに思えてきた。いや、自業自得と言うのは分かっているのだが、重圧をかけられている時の心情を想像してみると……何故だか同情する気持ちの方が強くなるのだから不思議な話である。
ただ、いつもの彼らならばここまでしないと思うのだが。……そう思って、ふと気付く。
「……一つ聞くぞ」
「どうぞ?」
「お前たち、怒っているのか?」
その言葉にサンドロックは頬笑みを浮かべ、ヘビーアームズは無表情ながら、答えた。
「当たり前だよ」
『当然』
即答を受け、ナタクは続けて尋ねた。
「……何故だ?」
「だって今日、一日でやった自爆回数の最高記録を更新したんだよ?彼」
そりゃ怒りもするでしょう、という話。ただでさえ自爆回数多いだろうに、その最高記録突破なんて。
でも彼ならやりかねないので何とも。
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