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骸さんとか雲雀さんとかのお話。しかしクロームは何気に苦労しそうな立ち位置ですよね。



 彼に会ったのは偶然だった。
「おや。お久しぶりですね、雲雀恭弥」
「確かに久しいけど……どうでも良いね、そんな挨拶。それよりも折角会えたんだし、帰るか咬み殺されるか今すぐ選んで」
「相変わらずですねぇ……そんなセリフを言っているばかりでは友達、出来ませんよ?」
「要らないから良いよ。で、何?咬み殺される方を選んだんだね?」
 微かな風邪を切る音と共に取り出され構えられたトンファーを見て、骸は肩を竦めた。
「止めてください。今の僕に君を虐……君と争うつもりはないですから」
「……今、虐めるって言いかけなかった?」
「気のせいでしょう」
 さらりとそう言ってから、考え込む。もちろん雲雀に対する警戒心はそのままだ。これを解いてしまった場合、へたすると数秒後この場所に気絶し倒れたクロームの姿が出来る。
 ……そう、そうなのだ。
 現在、骸はクロームの身体を借りて暇つぶしをしている最中なのである。ここで肝心なのは『クロームの身体』であることと『暇つぶしの最中』である事。戦闘中ならまだしも、暇つぶしで知らぬ間に体を傷つけられては彼女だって穏やかではいられないだろう。
 だから雲雀と戦闘になるのは何としてでも避けなければならない事柄なのだが、既に彼は戦闘態勢に入ってしまっている。これでは戦いたくないと言っても「じゃあ動かなくて良いよ。勝手に咬み殺すから」とか言われてあっという間に咬み殺されるのがオチだ。
 本気で困っている間にも彼の殺気は膨れ上がり、今にも破裂せんばかりになっていた。
「去らないって事は、覚悟は良いって事だよね……?」
「わ、ちょ、ちょっと待ってください!だから今の僕に戦う意思は無いんですよ!」
「じゃあ動かなくて良いよ。勝手に咬み殺すから」
「想像通りのセリフ!?」
「いくよ」
 小さく死刑宣告を呟き零した雲の守護者は、ぐ、と足に力を込め、そして。
 骸の意思に反して伸びた右手が彼の頭にとん、と触れた。
 え?と状況を理解できないままに世界は白く反転し、気が付けば……そこは、幻想世界。
 自分以外に、そこにはクロームと、雲雀がいた。
 自分たちはともかく、一体どうして雲雀がいるのだと困惑していると、その疑問を読み取ったのだろう、クロームが口を開いた。
「雲の人を……招待してみたんだけど。私の身体がその……危なそうだったから」
「まぁ、ここに入れば体は安全ですよね……でも、正体とかできる物ですかね、普通」
「分からないけど……出来たの。あ、それと、雲の人、ここでなら骸様に何しても大丈夫。ダメージは全部、骸様に行くから……」
「ク……クローム!?何言ってるんですか!」
 トンファーを持つ彼にそんな事を言ってのける彼女に慌てて制止しようとすると、彼女はとても深刻そうな顔で応じた。
「でも、だって、こうでもしないとまた……知らない内に骨折してる事になるから……」
 ……その言葉に罪悪感でも感じたのか、骸とほとんど同じタイミングで、雲雀もどうやら視線を逸らしたようだった。







雲雀さんと骸の(一方的な?)仲の悪さを考えると、どうしてもクロームが多少怪我をしてしまっているのではないかとしか思えないのです。だって骸様に体を貸し出してるわけだし。
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