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帰って来た四人……あれ、二人足りなくない?というお話。
前回の話はこちらから。




097:図書館
 
 
 
 旅行から帰った翌日。
 その日は土曜日でも日曜日でも祝日でもなく記念日でもない行事皆無の平日であったため、政宗は普通に登校していた。普通に校門をくぐって普通に靴箱で靴を履き替え、普通に教室に座って普通にいつものメンバーと喋って、一時間目を受けた。
 帰って来てみれば旅行以前と全く変わることが無い学校生活が待っていて、けれども別にその事を残念に思う事は無かった。変わらなくて結構。つまりそれは平和であると言う事であり、自分がこの場所に求めている物に他ならない。
 まぁ、ただ一つ。
 その教室といつものメンバーの中に慶次の姿が見えなかった事だけが、旅行前と同じ『普通』ではなかったのだが。
 ……そう直ぐに帰って来れると思っているわけでは無かったけれども。
 そんな風に旅行先に置き去られた二人の事を思いながら、何を言う出もなく、政宗たった一つの空席を眺めながら全ての授業を過ごした。しかし、心配は全くしていない。彼らならクマが出てこようとオオカミが出てこようと、どうにかするだろうと思っているから。少なくとも元就と半兵衛を相手にするよりは勝ち目があるだろう、きっと。
 そういうわけなので、自分にとって問題なのは彼らがいない事では無くて、何だかんだで生徒会業務の雑用係には丁度良かった彼らがいつ帰ってくるのかだった。
 何故なら。
 そんな二人がいないせいで今……つまり放課後、政宗は図書館までわざわざ資料を集めに来なければならなくなっていたから。
「……ったく……本探すのがこんなに面倒なことだったとはな……」
 幸村でも使えば良かっただろうかと思いながら、元就と半兵衛に頼まれた本を手際よく、ひょいひょいと本棚から抜き取る。正直、こんな事にいつまでもいつまでも時間を取られるつもりは全く無かった。
 面倒な作業に没頭する事、十一分。
 全ての資料を入手し終えて、その中の本……否、雑誌一冊を手に取る。
 その雑誌のタイトルを見て、目を細めた。
「……また置き去る気か」
 『遭難しやすい山ベスト10』と大きく見出しに書かれているそれを本の山に戻す。
 そして政宗は、帰って来ても二度目の災難に見舞われるであろう二人に心の底から同情した。







同情してばっかな気がする政宗さんと、同情されてばっかの置き去り二人。
っていうか本当に置き去りにしたんだね、という。
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