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あえて御幣を招きそうな表現をするならば「臨也のコスプレを見る波江さんの話」なのでしょうか。
というわけで、波江さんと臨也のお話です。



004:白い花
 
 
 
 出勤して早々に目にすることになったその白い花束を前に、波江は静かに言葉を紡いだ。
「これ、何?」
「見て分からない?花束だよ」
「じゃあ、何でこんな物がここにあるのかしら」
「これからこれを持って、俺は行かなきゃいけない所があるから」
 そう答える雇い主は、外に出るらしいと言うのに何故か黒いコートを着ていなかった。だからといって、黒い私服姿でもない。いや、黒くはあったが、私服では有り得ないだろう、これは。
 何せ、それは俗にスーツと呼ばれる物だったわけだから。
「貴方……これから誰かにプロポーズに出も行くの?」
 訝しさを隠すことなく尋ねると、臨也は軽く肩を竦めた。その表情は笑み。微かに楽しげで、少々面倒そうで、とてつもなくどうでも良さそうな笑みだ。
「ま、そんなとこ。俺の求愛が受け入れられたら、そうだね、俺の仕事も波江さんの仕事もしばらく増えるかもね」
「一体どこと繋がりを持つ気なのかしらね……ま、私に火の粉が降りかからないようにはして欲しいものだけど。とばっちりなんてごめんだわ」
「あはは、安心してよ。そんなヘマしないから。俺、これでも女の人の機嫌とるのは得意なんだよね。一部例外はあるとしても」
 あぁ、だからそんな良く分からない恰好をしているのか。確かに、いつもの黒コートよりは今の黒スーツの方がウケは良いだろうけど。
 だから、その服装に関しては納得する事にしよう。
 だが。
「だからって普通、花束まで用意する?」
「小道具の一つだよ。スーツに花束。良くある絵だと思わない?」
「それなら赤いバラにでもしてあげれば良かったのに」
 そちらの方が喜ばれるだろうに。そう思ったので興味無くそう言うと、彼はくすりと笑った。やはりどうでもよさげな笑みだった。
「そんな事をするにしては、俺の愛は誰か一人に捧げるには重すぎると思わない?」







黒スーツの臨也……全く想像できません。それにプラスで白い花束とか尚更分かんないです。
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