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綺麗なものって、けれどいったい何なのでしょうか。
ナタクとデスサイズのお話です。
005:綺麗なもの
「世界で一番素敵な物?」
「そ。なんか良さそうな物とか無い?」
突然現れたかと思えば突然そんな事を言い出したデスサイズに対して、ナタクは首を傾げることなく言い放った。
「正義」
「それ以外でよろしく」
「……」
間髪いれずに考えなおしを要求されて、思わず黙る。
それ以外でよろしく、と言われても、残念ながら自分にはそれ以外の『一番素敵な物』とやらは浮かばない。一番と言うからには一つしかなく、自分にとっては『正義』がそれだったのだから、それもまた当然なのだが。
しかし、一体この質問は何なのだろう。デスサイズが突然現れた事は良いとして、しかし突然こんな事を聞かれるなんて妙と言えば妙だ。
訝しく思っていると、それが表情に出ていたのか、こんな質問なんて何でも無いんだけど、とデスサイズが肩を軽く竦めた。
「人がそんな事を話してるのを聞いたから、何となく気になっただけ。で、何かアイディア思いつかない?何度も言うけど、正義以外な」
「……言葉、とかか?」
「んー、確かにそれも良いかもしんないけど、人を欺く言葉もあるし」
「そんな事を言い出してはキリが無いだろう……では、思い出は?」
「悲しいのもあるから嫌」
「……我儘だな」
「折角の『一番』なんだから、どこから見ても文句付けられない物の方が良いだろ?」
笑みを浮かべる彼に、ナタクは呆れの息を吐いた。
「そんな物があるわけ無いだろう……」
あまり考えることが好きではない自分でも、それは分かる。恐らく、それが考えるまでもなく分かり切ったことだからだろう。そして、ならば、それを目の前の仲間が分かっていないわけが無い。
つまり、彼はそんな物が無いと思いながらこんな事を口にしている。
まったく、ワケの分からない。
「けど、それでもそんな物が欲しいと思ったんだから仕方ないだろ」
口をとがらせて死神はそう言い、その言葉に龍は二度目の沈黙を纏った。
綺麗=素敵、ということで。
完璧な綺麗さなんて一体どこにあるんでしょうか。
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