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久々にトリニティ三兄弟。しかし久々過ぎ過ぎですね。途美設定です。
14.カエル
「そういや、カエルの解剖って最近やらねぇよな」
と。
何気ない様子でそう呟いたのは、自身の次兄だった。
食事中にもかかわらずなその話題に、思わず半眼になってスプーンを持っていなかった左手を振りあげ、青い頭を叩く。もちろん手加減など必要無いから、力一杯思いっきり、だ。それでも、持っていたスプーンで抉る様に殴りつけるという選択をしなかっただけ、まだ自分にしては良心的行動だろう。
まぁ、良心的行動だったとして、それで痛みが消えるワケも無く。
女子の力とはいえ思いっきり、しかも相手が無防備な時に、頭めがけて食らわせた攻撃である。流石に堪えたらしく、頭を抱えた次兄が小刻みに震えているのが分かった。痛いと叫びたいのを我慢しているのかもしれない。
そのミハエルの様を見てだろう、ヨハンが呆れた表情を浮かべた。
「……食事時にそんな話をするからだ」
「だ……だって今思いついたんだから仕方ねぇじゃん」
「だとしても駄目。カレーがおいしくなくなっちゃうじゃん」
「……っつってる割にはスプーンが止まってねーんだけど?」
「ミハ兄、抉るよ?」
にこりと笑みながらスプーンを顔の前まで持ち上げて見せると、目に見えて次兄の顔が引きつった。恐らく、抉る、という言葉に恐怖でも覚えたのだろう。
それでいいと、ネーナは改めて食卓の上のカレーへ意識を戻した。
これでしばらくミハエルは変な事を言って来ないだろう。つまり、ゆっくりと夕食を堪能できるということである。何でカエルの解剖なんて事柄を思いついてしまったかは、実はわりと気になるポイントではあるし、後でおいおい問い詰めればいい。
そんな風に思いながら、空になりそうな皿を取って長兄に差し出す。
「ヨハン兄、おかわりちょーだい」
「……カエルの解剖話聞いてまだ食えるのかよ、ネーナ」
「それはそれ、これはこれだよ」
「まぁ良いけどよ……」
ヨハン兄にごめんといわなければならないな…ごめん、出番が少なくて。
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