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本を読むから連想する事=本を読まなそうな人=呂布。
そんな感じに呂布と貂蝉のお話。
そんな感じに呂布と貂蝉のお話。
02:本を読む (三国伝:小話)
「そういえば、奉先……お前、書を読んだ事はあるのか?」
「無い、とでも言うと思うか」
「お前なら有り得るだろうとは思っているぞ?」
書簡を枕に昼寝に勤しんでいた侠を見下ろしながら、別の書簡を一つ持ったまま、貂蝉は、ふむ、と腕を組んだ。
「だが、確かにお前と言えど、一度や二度なら書に触れ目を通そうとした事はあるかもしれないな……よし、ならば問い直そう。奉先、真剣に書を読んだ事はあるか?」
「……」
返ってきたのは、沈黙。
そして、この場合、この沈黙は殆ど肯定を露わしていると言って過言ではない、はず。
つまり、実質、彼は書というものを読んだことが無いのだ。
思わず、息。
出会ってから今まで。そういう姿を見たことが無いから、もしかしたら、と思いはしていたけれども、そうである可能性は高いと思ってはいたけれども……本当に是を返されると、何とも言えない思いを抱いてしまうのは何故だろう。
もちろん、彼が好んで書を読むような侠ではないとは知っている。
しかし、世の中には教養という言葉も存在するのだ。
「今更な話だが……お前、よくそれでやってこれたな。何も言われなかったのか?」
「言われはしたな。気には止めなかったが」
「そういえばお前はそう言うやつだったな……ちなみに指南書の類は?」
「一度目を通しはしたが、直ぐに止めた。意味が無いと分かったからな」
「ほう? 何故だ?」
「書など読まずども、実際に戦えば大凡は掴める」
「……あぁ、それは納得だな」
彼の様な実践派の権化のような侠ならば、そういうこともあるだろう。
ふむ、と頷き、組んでいた腕を解く。
文には興味が無く、武では実践を重んじる。
それでは確かに書に触れようがなかった。
やれやれと肩を竦め、持っていた書簡を未だ寝ている呂布の顔面めがけて落とす。
「……何のつもりだ」
直撃する前に難なくそれを掴み取った彼に、ふ、と笑って背を向ける。
「何でも無いさ。ただ、せめて、それくらいは読んだ方がいいだろうと思っただけだ。……読んでおけよ?」
「……知らん」
そしてきっと読まない呂布。
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