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折角だから夏休み終了風景を書いてみようその①。天玉町一家です。


 毎年、この日は大変な事になる。
 既に夕食が終わった食卓の上、散らばっているノートや教科書、問題集を振り向き眺めながら、ソファーに座っている孫権は小さく息を吐いた。
 そんな自分の隣には劉備が酷く安堵した表情を浮かべており、その向こうでは孫策が呆れた表情を浮かべて背後を気にしている。
 そして、ソファーの背面側から押し寄せてくるのは、修羅場の気配。
 事実、あちら側は修羅場だ。夏休みの宿題を今日この日までに全て終えなかった者たちの、正真正銘の地獄である。
 自業自得と言えば自業自得なのだろうが、しかし、それでも少し孫権は同情していた。
 何せ、あの地獄を取り仕切るのは地獄の業火すら纏えかねない猛者なのだし。
 生きて帰ってこい、と向こう側にいる尚香と曹丕に心の中でエールを送りつつ、安心の表情が張り付いて剥がれそうにない劉備の方に視線を向ける。
「良かったな、劉備。今年はちゃんと宿題終わって」
「あぁ……良かった……本当に良かった。去年みたいな目に遭わずに済んで本当に……」
「あの時は死にそう顔してたよなぁ、劉備」
「実際、あれは死ぬぞ」
 そう言ったのは孫策である。
 腕を組み、過去にあの地獄を経験した事があるらしい実兄は、何やら難しげな表情を浮かべた。
「あれをものともしないのは、呂布くらいのものだろう。普通の奴だったら基本、アイツの視線とか気配とかにやられて、冷や汗かきながら宿題を片付けるんだ」
「え、冷や汗?」
「今日と言う日のアイツの視線やら気配やらは棘の様だからな、晒されれば冷や汗も出る」
「……痛そうだね。視線と気配」
「痛かったぞ、視線と気配」
「痛かったな、視線と気配」
「そ……そうなんだ」
 地獄経験者二人が、揃って首を縦に振る。
 その様を眺める孫権の頬に、地獄側にいるわけでもないのに、冷や汗が伝った。
 
 
 
~その頃の地獄側~
 
「……ねぇ、曹丕。曹操のあの視線どうにか出来ない?」
「無理に決まっておるであろうが! 余はまだ死にたくないぞ!」
「曹丕、尚香、喋る暇があったら手を動かせ。……あと呂布」
「……何だ……くぁ」
「欠伸をするな。あと寝るな!」
「夜なのだから眠いに決まっているだろう」
「寝れないのは貴様のせいだ! ベッドに入りたいなら、とっとと宿題を終わらせろ! 貴様のが一番多く残っているのだぞ!?」
「叫ぶな煩い」
「叫ばしているのはどこの誰だ!」
「……ねぇ、曹丕」
「……何だ、尚香」
「呂布って凄いわね……」
「見習いたくない類の凄さではあるがな……」








夏休みの宿題くらいはしっかりとやってもらうぞ by曹操様。
そんな感じのお話でした。曹操様に監督されたら逃げらんないよね。呂布はものともしてないけど、それはだって呂布だから仕方がない。
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