夏休みの終わり～白辺高校編～

折角だから夏休み終了風景を書いてみようその③。白辺高校です。

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「……皆さんに大変なお知らせがあります」
　八月の終わりの夕食の席にて。
　酷く沈鬱げな表情を浮かべ、デスサイズが口を開いた。
　それを受け、サンドロックとナタクが訝しげな表情を浮かべる。自分とヘビーアームズは事情が分かっているので「あぁ、あれのことか」と思えるけれども、彼らは何も知らないのだ。だからこそ、今からデスサイズが何を言うのか分からない。
　そんな何も知らない二名に申し訳なさそうな視線を送り、デスサイズは続けて言った。
「これからしばらく夕食が素麺と冷麦になる可能性があります」
「え、っと……しばらく、って、期間は？」
「頑張り次第」
「どうしてそんな事になった？」
「まだしばらく暑いだろうなぁって思って素麺一つ箱買いして、福引券があったから帰りに福引をしてったらヘビーアームズが二等の素麺の箱十箱を引き当てて、帰ってみたら『もらいすぎたのでおすそ分けです。よかったら食べてください。　ガイア』っていうメモと大量の冷麦が玄関のドアの前に置いてあったから」
　その回答に対してだろう、二人は呆れの表情を浮かべた。
「それは……何て言うか、ねぇ……」
「運の無駄遣いだな」
　そうして思い思いの感想を口にする彼らを眺めつつ、ウイングは素麺を口に運んだ。
　本来、この大量の素麺を全部自分たちで食べる必要は無い。ガイアの様にお裾分けとして他の部屋に配ってしまえば良い話なのである。そうすれば自分たちの負担は減り、他の所も食費は多少浮き、まぁ普通に歓迎される状況が出来あがっただろう。
　だが、それを否と言う人物がいた。
　それが、黙々と、しかしどこか嬉しそうに素麺を食べている彼……ヘビーアームズである。
　冬の竹林で流し素麺をしたい、と言いきれる程度には素麺の事を好いているらしい彼としては、どうやら大量の素麺も自分たちで全て消費したかったらしいのだ。
　それに巻き込まれる側としては正直、たまったものではない。自分とデスサイズはもちろん反論した。が、こういう所では何故か譲ってくれない彼の頑なさに押され、まずデスサイズが折れ、なし崩しに自分も折れ……そして現在に至るのである。
　……どうしてあそこで折れてしまったのだろう。
　今でもそう思うのだが、既に終わった事だ。今更何を言っても考えても変わらない。
　お裾分けという手段を選べない理由まで聞き終わったらしいサンドロックとナタクがヘビーアームズを説得しようとする様を見つつ、ウイングはデスサイズに尋ねた。
「ヘビーアームズは折れると思うか？」
「いや、全然思えない」

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ヘビーアームズは素麺好き、っていうイメージがね、あるんだよね。流し素麺が好きなだけかもしれないんだけどね……でも素麺好きそう。
ヘビーアームズ・悪童・ゼータの五人を素麺組と呼んでいるのはここだけの秘密でお願いしますね。