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拍手再録です。
057:傍に、いるよ
人間とは愛しく、愚かしいものだと思う。
この世界に存在するようになってから随分と時間が立ったように思うけれど、彼らは全く外見も中身も変える事無く生き続けている。優しさを利用したり、小賢しさで自滅したり。本当に、何も変わらない。
けれども、だからといって嫌いになんてならないし、幻滅なんてしないなんて、我ながら不思議ではある。不思議ではあるけれど、その理由が理解できないわけではなかった。
人間を愛しているから。今でも愛おしいから。
その愚かさも、何もかも、人間が抱く何もかもが愛の対象だから。
だから、そんなモノたちのせいで嫌いにもならないし、幻滅もしないのだろう。
……けど。
「だからと言って、気にしていないわけではない……のかもしれないわね」
呟いて、罪歌は最愛の人の背中に自身の背中を合わせた。
それに相手は気付いたようだけれど、何も言われなかったのでそのままの体勢を保つ。嫌なら彼は嫌と言うだろうし、言われないのなら問題は無いのだろうから。
彼は、人の愚かしさや人の臆病さで傷つけられてきた人間。化け物の様な、人。
そんな彼に、自分は強いから惹かれた。でも、今は多分それだけじゃあ、無い。色々と知ってしまったから。人間によって心に与えられたその傷を、知ってしまったから。きっとそれらもこの気持ちの理由の中に含まれているのだろう。
そしてそれを、恐らく彼は知らない。
知らなくったって構わないと思う。知られようと知られまいと、自分が彼を愛している事は変わらないし、好きなことも変わらない……愛し方も変わらない。変わるわけがない。
我慢できなくなったら自分は、間違いなく彼を傷つける。けれども、その刃は彼の心までは届かないだろう。人間が彼に与える暴力とは違って。彼は自分と言う存在のなんたるかを知っていて、それが自分の愛し方だと理解しているから。自分が与える痛みは愛の証だと知っているから。それに関する是非はともかく、彼はそれを知っているから。
彼は、自分に傷つけられても傷つかないだろう。
それが愛の証であるかぎり。
……だからなのか、たまに思う。
自分が彼に与える傷が、愛が、ずっと消えなければいいのにと。
左の薬指に付ける指輪みたいに、永遠の証になれば良いのにと。
もっとも、彼の体質故にその様な事が起こりえる可能性なんて皆無なのだけれど。
ならば出来る限り傍にいてあげる事だけが、自分に出来る事なのかもしれない。
人間とは愛しく、愚かしいものだと思う。
この世界に存在するようになってから随分と時間が立ったように思うけれど、彼らは全く外見も中身も変える事無く生き続けている。優しさを利用したり、小賢しさで自滅したり。本当に、何も変わらない。
けれども、だからといって嫌いになんてならないし、幻滅なんてしないなんて、我ながら不思議ではある。不思議ではあるけれど、その理由が理解できないわけではなかった。
人間を愛しているから。今でも愛おしいから。
その愚かさも、何もかも、人間が抱く何もかもが愛の対象だから。
だから、そんなモノたちのせいで嫌いにもならないし、幻滅もしないのだろう。
……けど。
「だからと言って、気にしていないわけではない……のかもしれないわね」
呟いて、罪歌は最愛の人の背中に自身の背中を合わせた。
それに相手は気付いたようだけれど、何も言われなかったのでそのままの体勢を保つ。嫌なら彼は嫌と言うだろうし、言われないのなら問題は無いのだろうから。
彼は、人の愚かしさや人の臆病さで傷つけられてきた人間。化け物の様な、人。
そんな彼に、自分は強いから惹かれた。でも、今は多分それだけじゃあ、無い。色々と知ってしまったから。人間によって心に与えられたその傷を、知ってしまったから。きっとそれらもこの気持ちの理由の中に含まれているのだろう。
そしてそれを、恐らく彼は知らない。
知らなくったって構わないと思う。知られようと知られまいと、自分が彼を愛している事は変わらないし、好きなことも変わらない……愛し方も変わらない。変わるわけがない。
我慢できなくなったら自分は、間違いなく彼を傷つける。けれども、その刃は彼の心までは届かないだろう。人間が彼に与える暴力とは違って。彼は自分と言う存在のなんたるかを知っていて、それが自分の愛し方だと理解しているから。自分が与える痛みは愛の証だと知っているから。それに関する是非はともかく、彼はそれを知っているから。
彼は、自分に傷つけられても傷つかないだろう。
それが愛の証であるかぎり。
……だからなのか、たまに思う。
自分が彼に与える傷が、愛が、ずっと消えなければいいのにと。
左の薬指に付ける指輪みたいに、永遠の証になれば良いのにと。
もっとも、彼の体質故にその様な事が起こりえる可能性なんて皆無なのだけれど。
ならば出来る限り傍にいてあげる事だけが、自分に出来る事なのかもしれない。
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