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17. 荘厳な城は恐ろしげで、けれどどこか寂しげで


 マリーとの邂逅の後、刹那はハレルヤに連れられて元の住居へと戻っていた。
 のだが……しかし、直ぐに室内に戻ったわけではなく、今まで入っていた建物の外見が見えるその辺りに下ろされた。瞬間移動を使っているので、下ろす、というのも変だとは思うのだが。
 それはともかく。

「……大きいな」
「だろ?こんなん俺らもいらねぇっての」

 大きな城を見て、刹那は呆然と呟いた。
 隣で嫌そうな顔をするハレルヤに詳細説明を求めるべく視線を送れば、彼はハァ、と溜息を吐いて話し始めた。

「俺らはな、アレルヤが戻ってきてから直ぐに人間に宣戦布告したんだよ」
「人間?」
「っても、この国のお偉方だけどな」
「……成る程」

 直ぐに宣戦布告というのは二人らしいと思いながら、何となく先の読めてきた話を促す。一応、答え合わせと言うところだ。

「で?どうしたんだ?」
「震え上がったお偉方は以人狩りなんざ意味のねぇもん始めて、俺らには碇を沈めてくださいーってな、この城を渡してきたんだよ」
「単純だな」

 城の譲渡はお詫びの印に、ということなのだろうが……それで二人の気が晴れるとは思えない。むしろ、その程度しか出来ないのかとより怒りを覚えそうな気が……しなくもないのだが。というか、実際そうだろう、多分。
 無知というモノは、本当に怖い。

「にしても……そうか」
「どうかしたかよ」
「いや……俺は以人狩りに巻き込まれたんだが…あれの理由が良く分かった」

 何であそこまでピリピリしていたのかと、今ならよくよく分かる。確かに放っておいたら脅威だ。しかし、この城を放置して他のを…というのは、やはり気休めのための行動だったというのを指している。少しでも安心できるようにと人柱を立てる、パフォーマンス。つまりはそういうことなのだ。
 だが、自分が巻き込まれてしまったのは事実であり。
 ハレルヤはやや気まずそうに頬を掻いた。

「……悪ぃな」
「気にするな。あれがなければお前たちと出会うこともなかった」
「んで、何も知らずに死んでたってか?」
「人間全てを滅ぼすのなら、そうなっていたな」

 それも一つの終わり方だろうが…些か、遠慮したいものだ。
 思いながら、ちらりと城の方を見る。

「二人、いや三人で住むには…大きすぎるな」
「城のことか?……だろ?だからいらねぇって言ったのによ……。ま、ありがたく使わせてもらってるぜ。せっかくタダなんだしな」
「世俗的だな…」
「そりゃ当然だろ」

 ニッと笑うハレルヤに笑い返し、もう一度城を見た。
 とてもとても大きな城は、中に三人……今は二人しかいないのだと思うと、何だかとても寂しい場所のように思えた。
 けれどそれは刹那の主観。
 きっと、彼らはそれだけでも寂しいなんて思わずに、満ち足りている。

 

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