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正直、タイトル全然関係ないです。
39:サンドウィッチ
これは、どうしたら良いんだろう。
公園の日陰の、ベンチの上でぐでーっと寝ている相手を見て、フォビドゥンは反応に困った。本気で困った。
いやだって、何でこんな所で寝て。
しかも反応に困った理由の一つとして、彼は未だに眠ってはいないのである。
つまり起きている。
熟睡でもしていたらイタズラの一つでもやって去っていく。のだが、起きているのならば話は別だ。彼が相手で、他の二人がいない現状ならば尚更に。いくら暑さにやられていようと、いつもの力関係に差は生じないだろう。
にしても。
「…何でアンタこんなトコで寝てんの」
「うー…あー、フォビ丼だー」
「フォビ丼じゃねぇよ!フォビドゥンだって言ってんだろ!」
「そういやそうだっけ…暑さで頭やられてて分かんない本気で…」
「重傷じゃん」
「だーよなー…だから弁当持って涼を求めて外に出てみたんだけど」
「弁当ってそのサンドイッチ?」
言いながらも様子を見たところ、あまり効果はなかったらしい。
この暑さだったら分からなくもないと、ふらりと起き上がってベンチの背もたれに体重を預けた彼の隣に無許可で座る。
日陰のベンチは、日向にいるよりは格段に涼しい。だが、それもあくまで比べたらの話である。暑いものは結局暑かったし、いわゆる五十歩百歩状況で、現状打破への切り札にすらなりそうにない。
それでもいるのは、五十歩百歩だろうと日向よりも涼しかったからか。
これでアイスでもあれば良いんだけどと思いながら、相変わらずぐったりとしているデスサイズに視線を向ける。
「アンタ何でそんなにぐだってんの」
「ふ、ふ、ふ……全身真っ黒MSの苦労なめんなよー…?」
「いや、今黒くないんじゃね?」
「そーなんだけどさー、やっぱ影響があるとしか思えないってコレ…」
「そーか?」
言われて思い出すのはレイダーの様子。あと、比較対象としてカラミティの様子。
……そーいえば、レイダーの方がへばり具合は格段に上だったような。
後でガイア(黒)とカオスの様子でも確認してみようかと思い、ふとブリッツの様子を思い出して首を傾げる。
「ブリッツはへーきそうだったけどー?」
「それって朝早いうち?」
「…そういやそうだったよーな」
「なんてーかさ…熱が籠もる?溜まる?そんな感じっぽくってさー…いやもう死ぬ」
死神が死ぬ、とは。とりあえず有り得ない気が。
「……じゃねぇよ。そういやアンタ、何で一人なワケ?」
「他のヤツらも涼を求めて旅立ちました、ってトコ」
「へぇ?」
「そういうお前はどーなんだよ」
「オレ?」
話がふられるとは思っていなかったフォビドゥンははた、と首を傾げてから数秒後、あぁ、と事情をようやく頭に思い浮かべて口を開いた。
「レイダーはアンタの言うとおりへばってて、カラミティは涼をとんのも億劫だってよ」
「ふぅん…お前は面倒とか億劫とか言わなかったワケ?」
「暑いのが耐えらんなかったんだっての」
それはもちろん、動きたくなかったのは事実だ。怠いし面倒だし億劫だし、付け加えて動く気力もなかったし。それでも出たのは、それ以上に暑さから逃げたかったからである。もっとも、出てみて分かったのは、室内も室外もあまり変わらないという悲しい事実だけだったが。
無駄足、という結果は些か悔しい。
海でもあれば良いのに、と思って、ハッと気付く。
「そーだよ!海にいけば良いんじゃん!」
「あー、それ無理。あっちに行く方法が無くなってんの」
「はぁ!?何だよそれ!」
「言葉どーりの意味。移動手段が尽く全滅って事」
徒歩で行く?と言われ、フォビドゥンは言葉に詰まった。
それは、きつい。どれくらいきついって、言葉に言い表せないほどにきついに決まっているではないか。ということは、海に行くことすら禁じられたのか。
「有り得ねー…」
「それ同感。明日はもしかしたらさー、めっちゃ寒くなったりして」
「それ有り得そ…あ、このサンドイッチもらうぜ」
「…うん、良いぜー」
ほら、黒って熱を吸収するじゃないですか。