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辿り着いたその扉の目の前だったが、なんと驚くべき事に、ここまで近くに来てもハレルヤとミレイナは扉のありかが分からないらしい。
正確には、見えない、ということらしいが。
「何で見えねぇんだよ」
「俺に訊くんじゃねぇよ。こっちが訊きてぇくらいだ」
「でも、とりあえず触れるよね?」
「はいですぅ…不思議ですぅ…」
「本当に不思議だね…」
半身も頷き、その問題の扉を見上げる。
別に、変なところはどこにもない扉だ。
ただし特筆する箇所もあり、それは装飾が微妙に凝っているところだった。別に豪華だというわけではないのだが、質素でもない。少なくとも普通の民家に置いてあるような扉ではないと、断言できるような代物だ。
最も、扉が何もない更地の中にポツンと立っている事自体が問題だろうが。
いや…普通ならばこれは問題ではない。
大問題だ、きっと。
腕を組み、アリオスは扉を睨み付けた。この扉は、開くべきか開かざるべきか。出口になっているのならば開けてしまいたいのだが、仮に災いが籠もっているとしたら開けたくはない。当然なのだが。
さて、どうするべきか。どうやったら分かるだろうか。
グルグルと頭を回転させているとき、事は起きた。
アレルヤが、何気なく手を上げて。
軽くドアノブに手を触れたかと思うと、躊躇いもなくそれを回したのである。
慌てたのは、扉が見える自分とキュリオスだった。
「テメェ何やってやがる!?」
「そっ…そうだよアレルヤ!危ないかもしれないよ!?」
「確かにそうだけどね…」
猛反発を受けているくせに苦笑を浮かべて、その種族不明の相手はドアノブを握ったまま手をゆっくりと引いた。
扉が、開く。
「あまり、危ない気がしないから」
「そんなん理由にされてたまるかーッ!」
「でもごめん、もう開いたよ」
ギィィと、音を立てて、彼の言うとおりに扉は開いた。
そして、その中からは……何も出てこない。同時に、何も起こらない。
「…もしかして、本当に出口?」
「さぁ。それは入らないと分からないかな」
「……入るんだ」
不安そうにキュリオスが言う。この半身にとっては、危ないかもしれないところに足を踏み入れるだけでもかなり不安を抱くのだろう。
「入るしかないだろ、チビ」
「テメェ、コイツはチビじゃねぇ!キュリオスがチビなら俺もチビになるじゃねーか!」
「アリオス…それはフォローなの?…何なの?」
「俺の本心」
そうとしか言えない台詞なのだ、これは。
しかし、その言葉に何となくはぐらかされたような感じを抱いたらしいキュリオスは、どこか不満そうな色を一瞬だけ示した。直ぐに消したが。
分かりやすいヤツだと思っているアリオスの耳に、ふいに、ミレイナがアレルヤに問いかけるようにかけた言葉が届く。
「ハプティズムその1さん、そんなにどんどん行くような性格でしたっけ?」
「まぁ、色々とあったから…色々と思い出したか何となくね」