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新羅視点の、それぞれにとっての嘘について。
人は誰しも嘘をつきながら生きている。
外の有無、その回数、嘘を吐いていると自覚しているか否か。そんな些細な差こそあれ、誰もが虚実を口にしたと言う、その罪らしきものを背負って日々を送っているのだ。
普通はそのせいで、どこか後ろめたい思いをしているようだけれど。
それでも、罪を重ねながら、ずっと。
生き続けているのである。
……ある時、一人の少年と出会った。
愚かな程に真っ直ぐな彼は、感情を抑える術を知らなかった。そのために望まない災厄に付きまとわれる羽目になり、そのせいで嘘を吐いた。彼自身を好いてくれる人たちへ心配をかけまいと思って。
必要最低限のその嘘は、罪の無い嘘だった。けれども、それはやはり嘘だった。
彼もまた、望まない罪を背負っている。
……ある時、一人の少年と出会った。
呆れかえるほどに歪んでいた彼は、好奇心を抑える気が始めからなかった。そのために望んで災厄の中に人々を投げ込み、そのために嘘を吐いた。自分の好奇心を、興味を、愛を満足させるためにひたすらに。
必要以上のその嘘は、罪のある嘘だった。そして、それはやはり嘘でしかなかった。
彼もまた、望みながら罪を背負っている。
……ある時、一つの運命と出会った。
人ではない彼女は、しかし誰よりも人間の様だった。普通に笑い、怒り、泣き、楽しみ、嘘を吐いた。人間でもないのに人間の様に、罪を重ね続けた。ある時は自覚的に、ある時は無自覚的に。
本当なら嘘を吐く必要が無かったはずの彼女の嘘は、それでもやはり罪だった。
彼女は、望みながら罪を背負っているのだろうか。
……ある時、鏡の向こうの自分に話しかけた。
少し曲がっているかと自覚している性格の自分は、当然ながら人間だった。普通に好きな人と一緒にいたいと思っていたし、そのためなら躊躇いも無く嘘を吐いた。人間だから人間の様に、罪を重ね続けた。多分、いつも自覚をもって。
願いのために吐き続ける嘘は、当たり前だが、やはり罪だった。
自分はきっと、望んで罪を背負っている。
そして今日も、誰もが嘘を吐くのだろう。
そんな嘘の話。
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