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とりあえず仲良しな臨也と静雄を目指してみた結果。完全に別人。



「贈り物をしてきてくれたっていう、その点は認めるよ?でも、この量は正直、いただけないと思うんだよねぇ……まったく、俺にどうしろって言うんだか」
 愚痴りながらスルスルとリンゴの皮をむいていく臨也。
「贅沢な愚痴だな。殺してぇ」
 物騒な事を口にしながら菓子の包装を開けて行く静雄。
「……」
 両者を眼前にして、紅茶の準備を二人前している波江。
 そして三人の周りに散乱し山となっている果物と菓子
 以上、現在の折原臨也の事務所内の様子。
 ……どうしてこうなったのだと、現状を再確認した波江は無表情の下でため息を吐いた。
 確か、数時間前はこんな状態では無かったはずだ。普通に臨也は仕事をしながらチャットをしていて、普通に自分は仕事をしながら誠二の事を思っていて、普通に静雄は池袋を歩き回って取り立ての仕事をしていた、はず。
 それがどうしてこんな事に。
 いや……原因は分かっている。
 分かっているだけに、やりきれないわけだけれども。
「あ、そういえば波江さんって嫌いな果物とかある?」
「無いわ。強いて言うなら貴方が嫌いね」
「あははは、俺は食べ物じゃないよ」
「そうね、残念だわ。食べ物だったらそのうち腐ってくれたかもしれないのに」
 そうしたら、きっと捨てる口実が出来たはずなのに。
 本当に残念だと表情を変えずに呟いて、淹れ終わった紅茶を静雄の前に置いた。もう一つはもちろん自分の物である。
「……ねぇ、俺のは?」
「欲しいなら自分でやって」
「…………俺、一応、雇い主なんだけどなぁ」
「人徳ねぇからな、手前。仕方ねぇよ」
「ごめん、シズちゃん、それってフォロー?それともトドメ?」
 皮をむき終わったリンゴを素早く八等分して皿に盛り、今度は梨に手を伸ばした臨也は、どこか乾いた笑みを浮かべながらそう尋ねた。
 尋ねられた方はと言えば、開けた缶の中に入っていたクッキーをポリポリと食べながら、不思議そうな顔で首を傾げている。何でそんな事を言われるのか分からないと言わんばかりの表情のくせにフォローともトドメとも答えずキョトンとしているところ、恐らく何も考えずに思ったまま事実のままを口にした、ということらしいかった。
 臨也も静雄の反応からその辺りを察したらしく、笑みを苦いものに変える。
「まぁ……そう思われるの、分かんなくもないから反論できないってのが何ともね」
「分かってるなら直しなさい。貴方がそのままだと迷惑なの。そう思わない?平和島静雄」
「ん?……悪ぃ、何てった?」
 いつの間にかクッキーを全て平らげていた彼は、申し訳なさそうにこちらを見た。
 空の缶から離れた手がプリンの容器の方に向かっているのを見て、直ぐ傍らにあったスプーンを差し出しながら、もう一度。
「折原臨也という存在は存在するだけで面倒よね、と訊いたの」
「あれ、なんか内容変わってない?」
「あぁ、そりゃそうだ。コイツいても良い事ねぇし」
「シズちゃんもシズちゃんでさ、普通に同意しないでくれるかな……しかも良い事無いって酷過ぎじゃない?」
「酷くねぇ」
 呆れた様な臨也の言葉に当たり前だろうと言わんばかりに返した静雄は、蓋を開けたその容器の中のプリンをスプーンですくい、口元の運んでぱくりと食べた。その瞬間に池袋最強と呼ばれる彼の顔がとてつもなく緩んだのは、多分自分の見間違いではない。
 ここまで美味しそうに食べられればプリンも本望だろうと思いながら、あらかじめ用意していた妻楊枝で臨也が切り分けたリンゴを突き刺し、持ち上げる。
 しゃり、と音を立てて口の中へその断片を送り、良く噛み砕いてから飲み込む。
 今のところはまだ、美味しいと思える。
 その事に安堵している自分の目の前で、山と積まれたプリンの群れを指さして、静雄が臨也の方を向いて口を開いた。
「おい、ノミ蟲、これ幾つか持って帰っていいか?」
「良いよ。好きなだけ持って帰ると良い。っていうか、プリンとかは全部シズちゃんに押し付けるつもりだったし。クッキーもあげる。職場の人に配ってあげたらいいよ」
「幽には……無理だな。時間合わねぇし、渡す機会もねぇ」
「ま、弟君はシズちゃんからもらわなくても、ファンの人からもらえてるかもしれないし、自分で買ってるかもしれないし。特に気にしなくていいんじゃないかな」
「……だな」
 臨也の言葉に少し物悲しげな表情を浮かべている静雄は、果たして気付いているのだろうか。
 彼が指し示した物全てを持ち帰ろうとするならば、あの首の無い運び屋の力を借りでもしないとどうしようもないのだということに。







おそらく贈られてきた物を全部食べきるころには、量が多すぎて美味しいと思うよりも飽きたと思うようになってるはず。
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