忍者ブログ
式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ハロウィン話フルカラー劇場編。…まだハロウィン終わって一週間経ってないからセーフだよ、きっと。
毎度のごとくW組の話。出てくるのはデスサイズとサンドロックだけだけどね。



「仮装もなにも、オレたち……普通にやってたらその時点で仮装やってるみたいなモン、なんだよな……」
 これ以上何をどうすればいいのだと、黒い衣装を手に取りながら呟く。
 仮装……なのだし、いつもと違う姿になれば、それで良いのだろうとは思う。けれども何と言うか、そう言う事をする前のほうが、自分たちの場合は仮装っぽい姿をしている気がするのだ。だというのに吸血鬼の格好をしてみたりだとか、魔法使いの姿をとってみたりするというのは、何だか無意味な事に思えてやる気になれない。
 こういう行事なのだからと、割り切って楽しめればいいのだろう。実際、割り切ってこそいなかったが楽しもうと最初は思っていたのだ。だが、割り切っていなかったせいなのか、普段の姿の方が仮装っぽいという事実に思い至った所で、全く気が乗らなくなってしまったのである。
 はぁ、とため息を吐きながら、デスサイズは衣装を机の上に戻した。
 ちなみに、今持っていたのは魔女の服。
 ……男しかいない所にこんな物を持ってきて、一体どうするつもりだったのだろう。
 気にはなったが、下手につついて蛇が出てくるような事があったら普通に嫌だ。自分は何も見なかったのだと心の中で何度も呟きながら、魔女の衣装を二つに折りたたむ。それから上に、傍に畳んで置いてあった白いシーツを少し崩してかぶせてみると、見事に問題の衣装は視界のから消えた。
 不思議な安堵感を覚えながら、満足さを覚えて軽く笑む。
「とりあえずこんなもんか……」
「何が?」
 と。
 突然背後から聞こえてきた声に、一瞬、反応し損ねた。
 何で近づく時の音が無かったのだとか、気配すらなかったのはどうしてなのかとか、尋ねたいことは幾つかあったのだが、一番最初に訊く事は始めから決まっている。
 くる、と後ろを向いて、声の主を視界に入れる。
「……何時の間にいたよ」
「今来たんだけど」
「そ。……で、その恰好は?」
「ジャックランタン的な物だね」
「的って……確かにカボチャはまだ被ってないみたいだけど」
 ローブの様な物を着て微笑んでいるサンドロックに苦笑を返す。カボチャがまだ未装着な理由はきっと、あんなものを被っていては行動がしづらいからだろう。カボチャを被った後でも首から下はまだまともだし、動きが制限される事はそれほど無いかもしれないが、行く道は選ばなければならないに違いない。あまりに細い道では被りモノが引っかかってしまうだろうから。
 それにしても……頭が引っかかって道に入れない後ろ姿というのは。
 ……ちょっと、見てみたい気もしたり。
「デスサイズは仮装、何にしたの?」
「オレ?」
 逆に問われ、あー、と呻く。
「考えて無かった……もう悪魔とかで良いよな?」
「悪魔って……それ、あまり普段と変わってない様な気が……」
「いつもは死神。悪魔とは違うって」
「いや、そういう意味じゃなくって、格好とか」
「……まー、それはそうなんだけど」
 自分は確かに死神ではあるのだけれども、確かに悪魔として見られても仕方ない格好をしている様な気は、する。黒いし、羽は蝙蝠ちっくだし。大鎌が自分は死神だと主張しているが、それもささやかなもの。だから、彼の発言は素直に認める。
 が、自分はそれでもやっぱり死神なので、悪魔の格好をするというならそれは仮装として認められるはずだ。
 自分の中でそう結論付けて、口を開く。
「あまり変わって無くても、普段と違うんだし良いんじゃないかと思うんだよなー」
「……本当は面倒なだけで適当な場所で済まそうって思ってるんでしょ」
「ま、そうなんだけど」
 呆れ顔の彼にこくりと頷いて応える。隠すようなことでもないし、自分の態度を見ていれば分かる事だ。嘘を吐く必要はここには無い。
 そんなこちらの思考も読んだかのように肩を竦めて、彼はローブの下から手を出した。
 その手の上にあったのは、小さな銀色の鎖が連なり造られた環。特に飾り気は無い、あまりにシンプル過ぎる、それはブレスレットだった。
 差し出されるようにそこにあるそれを、訝しく思い目を細める。
「えっと、何?」
「装飾品だよ。そのままじゃ、あまりにもいつもどおりだし、小さいものでも普段とは違う何かを付けておいた方がいいと思って。あまり意味は無いかもだけど」
「や、流石にこのままじゃ仮装として認められそうにないし、適当に衣装は探そうと思ってはいるんだけど」
「そう?でも、ま、もらっといてよ。身につけるのは気が向いたらでいいから」
 そう言って、彼はこちらの返答も待たずに机の上にそれを置いて、くるりと背を向けた。
「じゃあ、ボクはカボチャ取りに行かないといけないから」
 また後で、と言って去っていくサンドロックの背を見送って……その姿が見えなくなってから、何気なく起き去られたブレスレットを手に取る。
 そのまま左腕に付けてみたら妙にしっくりきて、思わぬ事態にぱちぱちと瞬く。
 意外さに少し驚きながら、思う。
 折角だし、この行事の間くらいはつけておいても良いかもしれない。






そしてブレスレットを返すのを忘れる、というお約束展開に陥るのだと。
しかしこの二人……書きやすいのかな……しょっちゅう書いてる気がするぞ……?
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
プロフィール
HN:
式ワタリ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
最新CM
[09/28 ナワ]
[06/15 オシロマミ]
[11/02 banana]
[11/02 式ワタリ]
[11/01 犬っぽい]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]