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風邪話・おまけです。曹操様に謝らないといけないお話になった気がします。



 昼。
 朝の騒動からだいぶ時間もたち、そろそろ放ったままにしておくわけにはいかないだろうと、昼食を病人の部屋に持って来たのは良いのだが。
「……開かんな」
 固く閉ざされた扉を前に、はぁ、と息を吐いて。
「入る……ぞっ!」
 思いきりその扉を蹴り付け蹴破り、そうして夏候惇が見たのは寝台の上の白い塊だった。
 ……思わず、絶句。
 何だ……朝のあれがそんなにショックだったのか。気持ちは分からないでもないし、そういう態度を取るのも理解できないでもないのだが……しかし、相手が彼であるというそれだけで、何とも言えない気持ちになるのだ。
 まぁ、彼も熱暴走なんて初めての経験だっただろうし、こうなるのもある意味当然の流れだったのかもしれない。自分の中でそう結論付けて、室内に入り、まだどうにか役目を果たせそうな扉を閉める。
 昼食の載った皿を机の上にコトリと音を立てて置くと、まるでその音に反応したかのように、もぞ、と背後で何かが動く気配がした。
 ちらりと視線をやれば、そこには布団から出ている曹操がいた。が、顔はこちらを向いておらず、見えるのはその後ろ姿のみ。
 やはりまだ顔を合わせるのは無理なのかと、思わず苦笑を浮かべた。
「大丈夫か?」
「…………そんなわけがあると思うか」
「……思えんな」
 苦々しげな声にさらに苦笑を深めつつ、窓際の壁にもたれかかり腕を組む。
「安心しろ。朝のあれは誰にも言っていない」
「……本当だな?」
「ここで嘘を言ってどうする」
「……分かった、信じよう」
 はぁ、と軽く息を吐いて、やや不満そうな声音で曹操はそう言った。恐らく、というか間違いなく、彼にとっての最善は自分にも誰にも朝のあの姿を見せない事であろうから、それもまた当然の反応ではあるのだが。
 その様にやれやれと肩を竦め、口を開く。
「あまり険しい顔をしていると、眉間にしわが残るぞ?」
「余計な世話だ」
 





声音から表情を予測してるんです(ラストの言葉について)。
とにかく、曹操様にとって朝の(というか、「上」の話の時の)姿を見られるというのはとんでもない不覚とかそういう系だろうと思って。……多分、あれが夢だったら良かった、みたいなことは少なくとも一瞬程度は思っているはず。
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