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原……色……?みたいな話になりましたが、一応原色。なつもり。
CB話です。



15.原色
 
 
 
 CBという組織の規模の大きさを考えて見れば、プトレマイオスに乗る実行部隊員の数は明らかに少なすぎるだろう。四年前のあの出来事から今この瞬間まで、思えば色々とあったけれども、トレミーに乗り込むのは少人数で、少数精鋭である、ということは変わる事が無かったし、誰も変えようとは言い出さなかった。だから今日も、この艦はあっという間に数え切れるほどの人数のみを乗せて行くのである。
 もちろん、その理由は分かっている。情報の漏洩を防ぐためだ。人がいれば、それだけ情報が外に漏れる可能性は多くなる。内通者を疑うわけではないだろうが、本人も知らない内に機密をこぼしていないとも限らないわけであり……きっと、そういう懸念があるから、必要以上数の人間を乗せない事でトレミーの現在地という物を知られ難くしているのだろう。立場上、実行部隊である自分たちの現在地という物が敵に知られるのは、あまりありがたいことではないのだ。これは、四年前も今も全く変わらない事。
 そして、そんな自分たちを支えてくれているのは、これも四年前から変わらないけれど、たくさんの球体のAIたち……つまり、ハロたちだ。
 人の手が足りない時や、人がやるのは難しい作業を行なってくれる彼らは、本当に掛け替えのない仲間だと思う。もしも彼らがいなかったら、きっと自分たちは今までやって来れなかっただろう。そう思わせるくらいに、彼らの存在は大きい。
 だからこそ、困るのだ。
 彼らが一斉に、どこかへ隠れてしまうという事態は。
 休憩室の一つで、自分同様にいなくなってしまったハロたちを探していた刹那、ミレイナと出くわしたフェルトは、息を吐きながら二人に訪ねた。
「ミレイナ、刹那、見つかった?」
「全然駄目ですぅ……一人も見つからないです」
「俺は青いのを確保した。今はスリープモードにして部屋の中に放りこんである」
「ということは、残りはえぇと……五?」
「ですねぇ……困りましたねぇ……」
 眉を八の字にして頬に手をやるミレイナの隣で、何も答えずに刹那が腕を組む。否定をしていない所、彼も彼女と同意見なのだろう。
 その事に微苦笑を浮かべつつ、今回の厄介事の始まりについて思いを馳せる。本当の意味でのこの事態の始まりを、もっとも、自分たちは知り得なかったわけなのだけれど。
 一通のメールから、自分たちにとっての始まりは始まった。誰からとも、どこからとも記されていないそのメールは、一斉にこの艦のあらゆる場所へと送られたのである。
 怪しいと思って開けまいと思っていても勝手に開いてしまうそのメールは、ハロたちからのメッセージだった。そう気付けるのはメールを読破した後なのだけれども、それはともかくとして、問題はメールの内容である。
 曰く「これからかくれんぼするから、さがして、みつけてね」。
 ……そして今に至るのだった。
 手加減抜きで隠れてしまったらしく、艦のどこを探しても見当たらない球体たちに思いを馳せながら、フェルトは再び息を吐いた。
「ハロたちだって息抜きが欲しいのかもしれないけれど……これはちょっとやり過ぎじゃないのかな……全然見つからないよ」
「同感ですぅ……あと、遊ぶなら、せめて先に一言何か言って欲しいですぅ。そうしたら、ミレイナは力の限り彼らと付き合うのですが」
「……いや、それは止めろ」
 不貞腐れた様なミレイナの言葉に、一瞬の間を置いて刹那が制止を告げる。
 それが不思議だったらしく、きょとんとした表情を浮かべて彼女は首を傾げた。
「え?何でですぅ?」
「何ででも、とにかく止めろ」
「とにかく止めろって、何だか理不尽ですぅ。グレイスさんもそう思いません?」
「あははは……」
 刹那が何を心配しているか分かるだけに、そう問われても、はいそうですねと頷く事も出来ない。誤魔化すように引き攣った笑みを浮かべて、フェルトはあえて明言を避けた。
 その態度に引っかかりを覚えたのか、むぅ、とミレイナは唸った。不満そうである。
 ……けれども、ハロたちの遊びに力の限り付き合うだなんて事だけは、何が何でも止めて欲しいと思う。ハロたちのこの実行力にミレイナの発想が合わさった時の事を考えると、今からでも背筋が凍ってしまいそうだ。
「と……とにかく、今はハロを見つけに行こう?」
「……あぁ」
「です、ねぇ……」
 願わくばそんな自体が引き起こる事がありませんように。
 ハロとミレイナの夢の共演を想像し、その後すぐに首を振ってその像を打ち消し、フェルトは刹那とミレイナと共に休憩所を出た。
 





何かの三原色がシアン・マゼンダ・イエローだったよねということで、刹那、フェルト、ミレイナなのです。
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