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これで厄害例はラスト。いわゆるオチ部分ですかね。
鈍い音が聞こえた気がして、メタスはふっと顔を上げた。
今の音は何だろうか。硬い物で何かを殴りつけたような音だった気がするのだが、そんなものが普通なら家の中に響き渡るわけも無い。
きっと何かが棚から落ちて床にぶつかったのだろうと結論付けて、洗い物を再開する。
「……メタス、少し良いか?」
泡の付いていた洗い物が半分ほど無くなった頃、静かな足音と共に台所に顔を出したのはゼータだった。
ゼータはプラスのフタが開いたままのプラスの水筒を手に持っていた。どうして彼がそれを持ってくるのだろう、などと疑問を抱くメタスの視線に気づく様子も無く、それを排水溝へと流し込みながら彼は口を開いた。
「すまないが……これも洗って欲しい」
「別に一個だけなら大した労力も無いから、そんな謝られなくてもやるよ?」
「……ありがとう」
「良いよ別に、お礼なんて。それにそれってプラスのでしょ?なおさらゼータがそう言う事を言う必要とか無いって」
「……そうか」
何を考えているのかが分からない表情のまま頷いて、ゼータは水筒の中を水で三回程ゆすいでから、とん、と流しの中にそれを置いた。
「じゃあ……頼む。ボクは部屋にいるから」
「分かった。……あ、そうだ、さっき鈍い音がしたのってあれ、なんだったか知ってる?」
「鈍い音?」
「うん。ずど、っていうか、どがっ、ていうか……ごすっ、って感じ、だったかな」
「……さぁ、ボクは知らないが」
首を傾げるゼータに、そっか、と言って、メタスは水筒に向き直った。彼がそう言うのならば多分、さっきの音は聞き間違いだったのだろう。
そう納得してしまった彼女は知らない。
ゼータが自室では無く彼の弟の部屋に向かった事と。
その手に、分厚い辞書とガムテープとビニール紐が存在していた事を。
ちなみに薬を飲んだのはプラスだったりで、だから水筒を持ってきたのゼータで、故にガムテープとビニール紐を持っていく必要が(拘束しないと危ないから)あったのです。
これ、言わないと分かりにくいかもね……ごめんなさい。
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