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つまづく、っていうか、ころぶ、っていうか、ころぶ人、っていうか。
そんなんばかりだと言い続け、やっぱりそんなんになりました。
学生時代の鮫さんと馬さんのお話。
そんなんばかりだと言い続け、やっぱりそんなんになりました。
学生時代の鮫さんと馬さんのお話。
10:つまづく (Re:その他)
そういえば、今までの人生で知り合った人の中で、何も無い場所でこける事が出来た人間はいなかった気がする。
それも、当然の話ではあった。自分たちの生きている世界は、そんな不要な才能を持っている人間が生きて行けるほど優しく無い物だったから。自分が出会う前に、そんな輩は残らず息絶えていたのだろう。
だから、まぁ。
そういう才能を持った相手に出会い、今の様に行動を共にしているという現状は、何と言うか、酷く不思議で非常に奇妙でとても異常だった。
そして、そんな今に慣れつつある自分がおかしくて仕方がなかった。
おかしかったけれど、どうしようもなかった。
と、いうのも。
「何でテメェは付いてくるんだぁ……」
「何で、って言われても、スクアーロがどこか行くみたいだからついて行こうと思っただけだし……何となく?」
何も無い所でこける事が出来る人間代表が、何故だか勝手に付き纏って来るのだ。
どうしてこんな事になったのだろうと、内心で息を吐く。何かをしてやったつもりはないし、何かをしてやるつもりもないし、何かをされたはずはないし、何かをさせたはずもない。何がきっかけだったのかすらわからない。きっかけがあったのかすら思い出せない。ただ、気が付けばすぐ傍に彼がいて、それが当たり前になりつつある自分がいたのである。
不本意な事、この上ないし。
感化されてるなと、何度か思った事もあるが。
何と言うか、やっぱり、どうしようもないのだ。
何せ。
「……どうにかしようと、思えねぇんだからなぁ」
どうにかしようと思えないのだから、どうにかしようがない。
故に、どうしようもない。
困った話ではある。
「……ん? 何か言った?」
「何も言ってねぇよ」
きょとんとした表情を浮かべるへなちょこの頭を小突いて、スクアーロは歩き出した。
多少、ディーノと距離を取った辺りで、口を開く。
「飯」
「へ?」
「腹が減ったから飯、奢れ」
「……あぁ! 分かった! ……今日はどこ行く?」
「テメェの好きなところで良い」
「じゃあ、最近見つけたオススメ店紹介してやるよ!」
背後から聞こえる嬉しげな声と、テンポ速めの足音に苦笑しながら、思う。
冷たく暗かったはずの自分の住処に、ほんの少しの明かりを押し付けてきた、迷惑でしかなく、なのにどうしようとも思えない存在。
そんなモノに付ける名称とは、果たして何なのだろうか。
腐れ縁とか、ね。
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