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拍手再録です。
065:祈り
世界が平和になるようにと、自分がその願いを口にするのは罪なのだろうか。
無人の街の、廃墟と化した教会の中で、そんな風に思う。
『罪でも何でもねぇだろうよ』
すると一つ、声が聞こえた。
それは、外から聞こえてくるものではない。中から聞こえてくる声だ。
自分の、片割れの声。
『思うだけなら罪にもなりゃしねぇ。口に出して、その時に周りに人間がいた場合には話は変わってくるかもしれねぇがな。まぁ、それも周りの人間次第だ』
「じゃあ、僕はそう思い続けてもいいのかな」
『言ってんだろ。思うだけなら罪にはならねぇってな』
「そっか……」
『だが、』
ほ、と安堵の息をこぼそうとしたところで、片割れが笑った。
それは、笑いと言うよりは嗤いと言う方が正しいものだったかもしれないけれど。
『お前は別だ』
「え?何で?」
『俺がいるから』
「君がいるから?」
『俺は、お前が口に出そうと出すまいと、その思いを全部知ることが出来る。つまりお前は、何も言わない状態で、それでも思ってしまえば俺にだけはそれを話した事になる。俺に伝えた事になる。そうだろう?』
「でも、僕は口に出していない。君に伝えようとも聞かせようとも思ってない。それでも伝わる。それは仕方が無い事。だというのに、君は僕の不可抗力までも責めると言うの?」
『責めはしねぇさ。俺は責めるわけじゃねぇ。ただ、止めろと言いたいだけだ』
「どうして?」
『そりゃお前、決まってんだろ』
呆れたように、片割れは言う。
どうしてこんな当たり前のことが分からないのかと言わんばかりに、言う。
『そんな無意味な祈り、聞くだけで気持ち悪ぃだろうが』
世界が平和になるようにと、自分がその願いを口にするのは罪なのだろうか。
無人の街の、廃墟と化した教会の中で、そんな風に思う。
『罪でも何でもねぇだろうよ』
すると一つ、声が聞こえた。
それは、外から聞こえてくるものではない。中から聞こえてくる声だ。
自分の、片割れの声。
『思うだけなら罪にもなりゃしねぇ。口に出して、その時に周りに人間がいた場合には話は変わってくるかもしれねぇがな。まぁ、それも周りの人間次第だ』
「じゃあ、僕はそう思い続けてもいいのかな」
『言ってんだろ。思うだけなら罪にはならねぇってな』
「そっか……」
『だが、』
ほ、と安堵の息をこぼそうとしたところで、片割れが笑った。
それは、笑いと言うよりは嗤いと言う方が正しいものだったかもしれないけれど。
『お前は別だ』
「え?何で?」
『俺がいるから』
「君がいるから?」
『俺は、お前が口に出そうと出すまいと、その思いを全部知ることが出来る。つまりお前は、何も言わない状態で、それでも思ってしまえば俺にだけはそれを話した事になる。俺に伝えた事になる。そうだろう?』
「でも、僕は口に出していない。君に伝えようとも聞かせようとも思ってない。それでも伝わる。それは仕方が無い事。だというのに、君は僕の不可抗力までも責めると言うの?」
『責めはしねぇさ。俺は責めるわけじゃねぇ。ただ、止めろと言いたいだけだ』
「どうして?」
『そりゃお前、決まってんだろ』
呆れたように、片割れは言う。
どうしてこんな当たり前のことが分からないのかと言わんばかりに、言う。
『そんな無意味な祈り、聞くだけで気持ち悪ぃだろうが』
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