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第二号はティエアレです







01.すべり台



「まったく……どうして俺が買い出しなどと……」
「仕方ないよ、ティエリア。今地上にいるのは僕と君だけだから」
 イライラとしているティエリアをなだめながら、アレルヤは両手の荷物を持ち直した。
 いつもなら、隣にいるのはロックオン。買い出しには彼とよく来るのだ。
 それが今日はどうしてこうなのかというと、なんてことはない。スメラギに強制的におろされたのだ。いつも宇宙にいるのもどうか、ということで。お供にアレルヤがついたのは買い出しをまかせるため。
 そのことも手伝っているのだろう、彼がいつもよりイライラしているのは。
 くすり、と笑うと見とがめられて軽く睨まれる。
「どうして笑う」
「ごめんよ。でもなんだか、ちょっとね」
「それでは分からないんだが」
「僕も分からないんだよ」
 こんなことを話していると、誰もいない公園にさしかかった。
 ぽつん、と明かりが一つ二つ……数えるほどしかない。
 その中で、一つだけ公園の中央にあるすべり台が、どうしてか目にとまった。
「ねぇ、ティエリア、すべり台を滑ってみないかい?」
「は?一体何を言い出すんだ、アレルヤ・ハプティズム。もうそんな歳ではないだろう」
「何となくだよ。それに君、すべり台とか滑ったことないんじゃないかなって。僕も、なんだけどね……だから、一回くらいやってみたいなって思ったんだけど」
 やはり、二十歳がやることではないか。
 苦笑して通り過ぎようとしたら、がし、と腕を掴まれた。
「ティエリア?」
「……そういうことなら、付き合ってやらないこともない」
「本当!?」
「一回だけならな」
 驚いた。まさか彼がこんな誘いに乗ってくれるとは。
 それを嬉しく思い、今度はアレルヤがティエリアの腕を引っ張る。
「じゃあ、早くやろう!」
「君はどうしてこう……いや、何でもない」
 ティエリアは何か言いたそうな様子だったが、結局言わないことにしたようだ。



 すべり台に上って楽しそうにしているアレルヤは、本当に二十歳かお前は、と言いたくなるほど子供のようだった。
 まずはティエリアから、ということで先に滑ってみたのものの、何がおもしろいのか全く分からなかった。
 すべり台の下のあたりでアレルヤが滑ってくるのを待ちながら、つらつらと考える。
 本当に、どうして子供はこんなものを楽しめるのだろう。ただ、上って滑って下りるだけだ。楽しむ要素がどこにもない。アレルヤがやりたい、というから付き合ってみたが……やはり、思った通りだった。
 しかしまぁ、彼の言うことも分かる。
 つまり、彼は普通のことを普通にやってみたいと思ったのだろう。
 彼は子供時代、こんなもので遊んだ記憶はないだろうから、ほんのすこし憧れていたのかもしれない。こういう普通なものに。
 ようやく滑り降りてきたアレルヤに手を差し出す。
「全く……どうして君はそんなに楽しそうなんだ」
「楽しいからかな」
 指しだした手が握られ、ぐい、と彼を引っ張り上げる。
「それは理由になっていないぞ」
「いいじゃないか別に」
 そう言う彼はほんの少し幸せそうだった。
 そうなるほど、普通というのは良いものなのか。
 ティエリアには到底理解できないものだったが、たまにはアレルヤのこういう突拍子もない思いつきに付き合うのもいいかと思った。
 彼の、とても楽しそうな笑顔を見れるのなら。
 そう思った。




ほのぼの目指して……どうでしょうね。
ほのぼの……なのかなぁ?

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