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ハレルヤとアレルヤ。
そして、ロックオンは可哀想な被害者……?

また、トリニティを書きたいけれど……ネタが。
あと、明日が沙慈の誕生日なんですよね……







 それはとある真夜中の話。
 眠っていたらハレルヤの声に起こされた。
 閉じてしまいそうな目をこすり、どうしたのかと訊く。
『なんか、酒飲みてぇ気分なんだけど』
「どうして?」
『何となくだよ何となく。理由なんてなくてもいいだろ』
 その声には憂いの響きがあるわけでもなく普段通りで、アレルヤ自身が初めて酒を口にしたときとは違い、ただ純粋に飲みたいと思っているのだと、それがよく分かった。
 しかし。
「でも、この部屋にはお酒はないな」
 ハレルヤには悪いが、本当に無いのだ。
 まぁ、ハレルヤがそれを知らないわけはなく、思った通りというふうにため息を吐いた。
『だろうな。お前は酒、おいとくようなヤツじゃねーし。となると……うし。アレルヤ、替われ』
「え?」
 唐突な言葉と共に、彼の意識が浮上する。
 そして体の支配権を得た彼は身を起こし、ベッドから降りた。
『どこに行く気?』
 そのまま部屋を出ようとするハレルヤに尋ねる。
「アル中んとこ」
 ハレルヤが言う『アル中』というのは、戦況予報師・スメラギのことだ。どうしてか彼は他人を名前で呼んでくれない。
 以前どうしてかと理由を訊いたときに返ってきたのは「それほど親しくもねーヤツの名前を覚えるのがメンドイ」という、何とも彼らしい返事だった。
 そんな彼なのに、どうして『それほど親しくない』スメラギの所に行こうとしているのだろう。
「酒と言ったら、ここではあの女だろ」
 それは当たっていると思った。
 だがしかし、
『……止めた方がいいんじゃないかな』
「何でだよ」
『多分だけど……』
 今までの経験からしてきっと今、彼女は…
『スメラギさん、お酒を飲んでるんじゃないのかな……今』
 普段から飲んでいるが、こういう皆が寝静まったころにもよく飲む彼女だ。今日は飲んでいないなどと考えるのは不自然。
 アレルヤの言葉を聞いたハレルヤは立ち止まった。
 それから数秒後。
「………………じゃ、もう片方に行くか」
 くるりと身を返し、もときた道を戻り始めた。
 どうやら、彼も酔っている彼女の恐ろしさを知っているらしい。
『もう片方って、何の?』
「心当たりって言うか、そんなもん。お前もよく知ってるヤツだよ。つーかもう着いた」
 彼が止まったのは、一つのドアの前。アレルヤもしばしば訪れる部屋。
『ロックオンの部屋…?』
「そ。こいつなら酒、持ってんだろ」
『たしかにね』
 よく、スメラギに晩酌を付き合わされている姿を目にするし、何度か彼の部屋に行った際にアレルヤ自身が付き合わされたこともあった。
 それはクリスティナやイアンといった、彼以外の成人しているクルーにもいえることだが、ここでロックオンを選ぶあたり、ハレルヤも他の人よりは彼のことを取っつきやすく思っているのかもしれない。
 まぁ、もし仮にだが彼がクリスティナの部屋に行こうとしたら、速攻で止めたけれど。
『………でも、彼、眠っているんじゃないかな。ロックも閉まってると思うけど』
 だから入れないだろう、と首をかしげる。
 そのくらい、ハレルヤだって分かっているだろうに。どうしてわざわざ?
「なら、ロックを開けりゃいいんだよ」
 言って、ハレルヤはパネルに手を伸ばした。
 それから、慣れた手つきでボタンを押し始める彼を、驚きのこもった目で見る。
『知ってるんだ……………あれ?どうして知って……?』
 ロックオンがハレルヤに暗証番号を教える理由はないし、機会も無かったと思う。二人がそろっても、ハレルヤはロックオンに突っかかっていったし。
「調べたんだよ。あぁ、眼鏡とかガキとか、この船の乗組員のは全部やったぜ」
 にやり、とハレルヤは笑った。
『…どうして?君、そういうこと面倒だって言ってそうなのに。というかどうやって?』
「どうやって、の方には答えらんねーけど。どうして、の方はアレだ、いざってときに寝首を掻くためだよ」
『…………………本気?』
「冗談だ」
 とか口にはしているが、それが本心に思えないのはどういうことだろうか。
 ため息をついていると、ドアの開く音がした。
「入るぜ……っと」
 とりあえず、寝ているロックオンを起こす気はないらしい。ハレルヤは物音を立てないよう慎重に、足を運んでいる。
 久しぶりに入るロックオンの部屋はいつものように整っていたが、若干汚れている。
 そろそろ掃除時だな、と思いながらロックオンの方を見る。
 ぐっすりと、眠っているようだ。これなら少々音を立てても大丈夫だろうから、音を立てないよう気をつけている限り起こすことはない。
 そのことにほっとしながら、ハレルヤの方に意識を戻す。
 彼は今、ロックオンが持っている何本かのビンから一番おいしそうな、あるいは一番高価そうなものを物色していた。どうせ盗るなら高価い物がいい、ということだろう。
『遠慮しないとダメだよ、ハレルヤ……というか、盗ったらダメだと……』
「いいだろ別に。たまには俺もいろいろ飲みてーの。なのに一本だけなんだから、むしろ感謝して欲しいくらいなんだぜ?」
『盗る時点ですでに感謝は無いと思う』
「そのくらい分かってんだよ」
 本当だろうか。
 そう疑っている間に物色は終わったらしい。ハレルヤは一本の四角いビンを持った。
「じゃ、おいしくいただいてやるよ、茶髪」
 にまっと笑いハレルヤはロックオンの方に視線を向けた。
 …向けた丁度その時、ロックオンの上半身が起こされた。
 突然のことに固まったハレルヤをぼうっと見、それから数秒間して、彼の体は再びベッドに倒れ込んだ。
 その間、アレルヤはどうしよう、と中で半分パニックになっていたし、ハレルヤもばれたか!?と焦っていたのだが、それはどうやら杞憂だったらしい。
 ほっとした二人は急いで部屋を出て、ロックをかけて元通りにした。
『……危なかったね』
「だな。まさか起き上がるなんて、思いもしなかったぜ」
『寝相、かなぁ?』
「だろな」
 とりあえず、見つからなくて良かった。
 アレルヤはそう思った。
 それから、もうこういうのはゴメンだとも。







後日


「なぁ、アレルヤ」
「何ですか?」
「俺の部屋、最近お前来てないよな」
「えぇ、そうですけど。どうかしました?」
「いや……なんか昨日見た気がするんだけどな」
「…………え?」
「それも真夜中。ロックかけてたはずだから、夢かなんかだよな」
「そ、そうですよ!ロックオン、そうに決まってます!」
「アレルヤ、何慌てて?」
「きっ……気にしないでくださいっ!」


被害にあったことすら気づいていないロックオン……
ゴメンナサイ、ロク兄さん。こういう役で……
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