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00。途美設定でハレルヤとソーマさんです。
17.祭りの夜
賑やかな喧騒から少し離れたところで、ソーマはマリーを待っていた。
何か軽く食べられる物を買って来ると言った彼女は、まだ帰って来ない。流石に目的の屋台までは辿りつけただろうが、その後こちらに帰ってくることが難しいのかもしれない。目の前を流れて行く人込みを眺めながら思う。押し分け掻き分け来るにしたって、これでは随分と時間をくってしまうだろう。
しかし、そうなると、自分は一体いつまで待てばよいのだろうか。いい加減、立ちっぱなしと言うのにも飽きてきたのだけれども。
せめて話し相手がいれば……なんて思ってみても、一人な事に変わりは無く。
はぁ、とため息を吐くソーマだったが、不意にかけられた声に表情を歪めた。
「ん?何でテメェがこんな所にいんだ?」
「祭りなんだからいても良いだろう」
話し相手がいればと思いはしたが、こんなやつは要らない。
心の底からそんな事を思いながら、声のした方を振り向く。
「お前こそ一人だが、どうした?ついに愛想でも尽かされたのか?」
「生憎だな。俺とアイツは変わらず仲良しだぜ?お前の所はどうなんだよ」
気に触る笑みを浮かべるハレルヤの言葉に眉をピクリと動かして、ソーマは腕を組んだ。
「お前の言葉をそのまま返そう。生憎だが、私たちも仲よしなままだ」
「そいつは残念なことで」
「全くだな」
こちらはあちらの仲が健在である事を、あちらはこちらの仲が健在である事を嘆いて見せ、それから同時に肩を竦めた。
「で、本当に何でテメェが一人いんだ?俺の方はアイツが迷子になりやがったんだけどよ」
「私の方はだな、マリーが軽く食べられる物をと言って人ごみに入って行ったんだ」
「帰りを待ってるってわけか。そいつぁ大変だな」
「暇で日まで大変だな、確かに」
同情心が全く感じられない言葉に頷き、人ごみに視線を向ける。
こんなやつの相手なんて一刻も早く終わらせたい。マリーが戻れば、直ぐにでもこの場から離れられるというのに。あぁ、本当に、速く彼女が返って来ないものだろうか。
仲が良いんだか悪いんだか。そんな二人を目指して。
この二人、いつも喧嘩してるけど案外分かりあってる、みたいな感じがいいのかなとか。
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